「『花男』などを連載している時も違う漫画を描きたくて仕方なかった」
ーー「花男」や「キャットストリート」など、神尾先生の作品には“学校”が舞台のものが多く、またいじめや不登校などの学校のネガティブな面も扱われています。神尾先生自身も学校がなんとなく嫌いだったとのことでしたが、どんなところに“嫌”を感じていたのでしょうか?
学校は結構な日数を休んでいました。私は今でも、毎日同じことを繰り返すのが苦手なんです。同じ電車に乗って、同じ教室に入って、同じ席に座って…。それがすごく嫌だったというわけではないのですが、性に合わないというのが正しい言い方ですね。卒業に必要な出席日数を計算しながら通うくらいでしたから。“学校”というシステム自体が合わなかったんでしょうね。学校よりも、一人で家にいて趣味に没頭する方が楽しかったんです。
ーー同じことを繰り返すのが苦手とのことですが、その分、コンフォートゾーンから抜け出して新しいことにチャレンジし続ける、その姿勢がとても魅力的です。2026年1月15日には、神尾先生が原作・キャラクター原案・脚本を手がけた完全新作アニメーション「プリズム輪舞曲」が、Netflixで世界独占配信もされます。常に新しい扉を開けていく神尾先生ですが、これまでの人生を振り返って、最も決断に勇気がいった挑戦は?
やっぱり漫画家になったことだと思います。当時は景気が良い時代で、ある程度好きなところに就職できるような状況でした。そんな中で「漫画家になる」と言ったので、周りからは「何を考えているかわからない」といった感じで反対されました。
でも、私は新しいことをするのが好きで。「花より男子」などの漫画を連載している時は腰を据えていましたが、何か違う漫画を描きたくて仕方ありませんでした。その時に考えていたのが「キャットストリート」という漫画で、連載が終わってからなんとか実現できたのでうれしかったです。アニメのお仕事に関わらせていただいたのもすごく刺激的で、新鮮で楽しかったですね。
「“みんなで作る”ということ自体が初めての体験だった」
ーー初めてアニメ制作をしたことで、創作者として新しく学んだことはありましたか?
本当にいろいろ大きな経験になりました。今回、私が大元の脚本を担当したのですが、どうしても少女漫画寄りに振り切ってしまう部分があったんです。アニメーションの中には三角関係が出てくるのですが、それだけの話ではなく、あくまでメインテーマはそれぞれの成長と“青春群像劇”。監督やWIT STUDIOの方々とストーリーを練り上げていき、みんなで調整しながら、大きな流れを作っていきました。
画家を目指す女の子が主人公の物語なので、芸術面でのよりアカデミックな部分についても話し合いました。スタッフ全員で時間をかけて考え、最初のラフな脚本から最終稿へと仕上げていったんです。 漫画は基本的に一人で描くものなので、“みんなで作る”ということ自体が初めての体験で、非常に新鮮で心強く、楽しかったです。
ーー最後に、神尾先生は、時代がアナログからデジタルになったことで、漫画もPC一つでどこでも描けるようになった、旅をしながら描けるから“自由”だと言っていましたね。神尾先生は、今後創作者としてどのような人生を歩んでいきたいと考えていますか?
まだいろいろと挑戦したいなと思っています。小説を書いたり、エッセイもまた書いてみたいですし、PCを一つ持って海外、たとえばヨーロッパなどへ行って、そこで思いついたことを書いたりもしたいですね。漫画も描きたいと思えばどこでも描ける時代になったので、その時が来たら“また”と思っています。
■取材・文=戸塚安友奈
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