又吉直樹と西野亮廣 対談「作り手とお客さんを完全に分ける時代じゃなくなった」(連載第三回)
西野 でもアマゾンのレビューとかは、俺、あんまり気になんないっすね。
又吉 僕は、たぶん殺したなるから読まない(笑)。それも書いてるけど(単行本『火花』九十六頁二行目~)、僕、メシは美味しく食べたいんですよ。メシをまずく食おうとしてる人にはあまり興味がないというか。人が作ったもんの、「いかにまずい食い方をしました合戦」みたいになってるところには、僕が作ったものでも人が作ったものでも、まずなるから関わらない。僕はできるだけ人の作品の美味い食い方を探して提案していきたいなっていう考え方ですね。批評はもちろんあっていいと思うけどね。
西野 確かに。
又吉 自立できるっていうのが、すごい大事やと思うんですよね。クビになったとして、その後にちゃんとライブで食っていけるっていう状況を、どうやったら作れんやろっていう。僕は綾部がアメリカに行ったんで、一人でやるライブもやりたいし、集団でやるライブもやりたい、両方やろうと思ってるけど。ミュージシャンとか、もしかしたら絵描きもそうかもしれんけど、自分一人の力で、最悪、街で歌ってやっていけるみたいな。それすごいなって。
西野 カッコいいよね、あのたくましさ。
又吉 それ、どうやったらできんやろうってのは、何年も考えてますね。
西野 ミュージシャンって、ギター持って前にカンカン置いて、これで生活しようと思ったらできるんだもんね、すごい人は。
又吉 なんか潔さと美しさを感じますよね。あと、僕は才能ないから無理やけど、絵が描けたらいいな、と思いますね。
西野 言語関係ないんだもんね。圧倒的な絵が描けたら。
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