“完璧”を目指し猛勉強!
――前回、「路地裏の闇 嬌声は 猫の恋」という句で、「才能アリ」1位を取って特待生になりましたが、その句に込めた思いは?
小説をこれまでに何回か書いているんですけど、昔書いた長編小説の中で使っていた言葉が「嬌声」だったんです。
この言葉自体に皆さんなじみがないと思うんですけど、でもすごく意味を持っている言葉なので、「女性のなまめかしい声」と「猫の盛りの声」っていうのを掛けて書きました。
「才能アリ」にしていただきましたけど、今思い返すとちょっと甘かったかなと思います。
今まで4回連続「才能アリ」にしてもらいましたが、僕の中でまだ完璧じゃないというか、納得いってない部分もあるんですよね。
その瞬間は納得して句を出すんですけど、夏井(いつき)先生に言われてみると、「ああ、なるほどな」と勉強になることがいっぱいあって、それを重ねてきたので、今回のタイトル戦に臨むにあたり、自分でもすごく勉強しました。
でも、今回「勉強し過ぎたな」っていうのはありますね、正直(笑)。
――どんな勉強をされるんでしょうか?
一番最初は夏井先生の本から歳時記に行き、歳時記から大歳時記、それから句集を買って読み込んでましたね。
あと、今回から導入したのは類語辞典と古語辞典、文語辞典です。日本の奥ゆかしい言葉、古典の言葉を学んでいます。学生時代にするっと通ってしまった「枕草子」を、もう一回読んだりしましたね。
めちゃくちゃ勉強しましたよ。だから趣味が減りましたね(笑)。
僕、多趣味だったんですけど、俳句で一掃されて…(笑)。今は俳句しか目に入らないです。
――夏井先生の厳しい査定はどうですか?
視聴者目線でいうと「そうなんですよ」って思うことがたくさんありますね。
僕は、歌の歌詞に対してよく思うんですけど、世の中にまん延している“凡”な、歌詞の表現としてもったいないなと思うことがよくあるので、夏井先生がバッサリいくのはよく分かるし、「その通り!」って共感するんですけど、ただ、自分が俳句を詠むってなるとなかなか見えなくなるんですよね。
客観視、自分のことを俯瞰で見る才能がないと、やっぱりいい句は詠めないと思います。
だから、名人と特待生の皆さんは客観的に自分の立ち位置とか芸風とかトークとか全部分かる方ばかりなので、こうやって名人・特待生としてこの場に立っていらっしゃるんだろうなって思います。
ライバルはフルーツポンチ・村上健志!?
――そんな強者ぞろいの中、ライバル視されている方は?
皆さん、それぞれ特徴があって才能がすごくあるので難しいんですけど…フルーツポンチの村上さんですかね。
初めて僕が出演したときに一緒になったんですけど、「新宿」がお題で、僕が「凡人」で彼が「才能アリ」1位という結果でした。
村上さんは「テーブルに 君の丸みの マスクかな」という句を詠んだんですけど、その時に「あ、この人才能あるな!」って思いましたね。
俳句の才能というより、ラブソングみたいな歌詞を書ける人だと思ったので、彼には負けたくないですよね。ミュージシャンとしては「そこ、俺のキャラやろ!」「俺担当やろ!」って思ってます。その枠をいずれ争うことになるかと(笑)。
――では、最後にタイトル戦に向けての意気込みをお願いします。
もう正直分からなくなってます。勉強し過ぎて一周回ってなにが良いか分からなくなってしまって(笑)。
どう考えても僕のアーティスト人生の中ではすごいことなんですよ。この17音という少ない文字数の中で、よくここまで考えて詠んだなって思うんですけど、そこに込めた思いがちゃんと伝わるのか、または、はっきりとは伝わらなくても感じられるのかというところで言うと、ちょっと分かりづらいと思うから、そこをどうジャッジメントされるのかが不安です。
意気込みで言うと、今回特待生や名人がそろう中で僕は一番下なので、皆さんはこれまでの経験を経ての地位など、守らなきゃいけないものがあると思うんですけど、今の僕には守るものがない。
だから、「かき乱してやろう!」と思ってがつくったチャレンジングな句なんですよ。ルールをちょっと飛び越えているんです。
それが「ダメ!」って言われるかもしれないし、言われる要素はある。でもそれを飛び越えていかないとかき乱すことはできないんじゃないかなって思ってます。
僕が17音に仕掛けた全てがはまればいけると。いちかばちか、です。