“取り合わせ”により俳句に傾倒
――番組出演まで、俳句の経験はありましたか?
全くないです。番組始まってから、この2年半ですね。
――俳句に開眼したきっかけは?
名人の初段くらいになるころですかね。その前に2016年の5月に舛添(要一)さんが失脚していくんですよ。あの時なぜか俳句に傾倒しましたね。なぜ舛添さんの政治と金の問題が、僕を俳句に集中させた理由になるのかはわかりません(笑)。
俳句でいうとこれは“取り合わせ”というんですね。季語とそれ以外の文章は微妙な距離感というのが“取り合わせ”の妙なんですね。季語が“春”だったら、それに関係ないような文言を出すんです。これと季語関係ないじゃないかという微妙な距離感。たぶん2016年の5月6月、舛添さんが失脚された時に、僕は“取り合わせ”を求めてたのかもしれませんね。
――見事な“取り合わせ”ですね。
6月後半に小池(百合子)さんが都知事選に出る時、この番組から「東国原は都知事選に出るのか出ないのかはっきりしろ」って言われたんですよ。東京都知事か俳句の二択。その時に僕は俳句を選んだんですよ。舛添さんは東京都知事も俳句も駄目だったんです。人生の選択でしたね。俳句の道を選んだからには中途半端ではいけないと奮起しました。
目標は国民栄誉賞!?
――現在、名人6段、タイトル戦では昨春の「俳桜戦」と秋の「金秋戦」の二冠でいらっしゃいますが、これからの目標は?
年4回タイトル戦がありますから、それを全部取って、3冠4冠取って国民栄誉賞を狙いたいですね。3冠取ったらもらえるんじゃないかと思うんですよ。この番組から国民栄誉賞出るのは快挙ですよね。
――東国原さんの俳句は社会派といいますか問題提起になるようなものが特徴的ですが、どんな思いを込めていらっしゃいますか?
特徴を出すようにはしています。やはり個性を出さないと、ある程度上にはいけないと思うので。基本に忠実に、かつ個性を出すようにしています。ですからフジモン(藤本敏史)とか、村上ポンチ君(村上健志)の作風はできるだけまねしないようにしています。
自分の作ったものに関しては、“類句”という、過去に同じような句がないかできるだけ調べますね。過去に似たものがあると、これまでも何回も俳句を消してきました。とにかく何十万とありますから、桜の句とかものすごいあるんですよ。それをできるだけ調べてまねだといわれないようには注意してます。
――1回のご出演でどのくらいの句を作られるんですか?
だいたい30~40くらいは毎回作ります。俳句は“多作多捨”、多く作って多く捨てることが基本らしいんですね。だからどれだけ作ったか、どれだけ人の俳句を読んだか、その裏打ちが実力の証明らしいです。
――ライバルだと意識されている方は?
フジモンと村上ポンチ君ですね。フジモンは子供の目線で見た大人の俳句が読めるんです。子育て中なので、どうしても子供の目線になる。これは僕にはないですね。村上ポンチ君は細かい描写が女性的で繊細です。
――夏井先生の容赦ない添削も番組の見どころですが、自信作をバッサリ斬られた時のお気持ちは?
夏井先生は忠実公平公正にやっておられるなという感じがします。でも若干好き嫌いがあるのかなと。先生の著書を読むと作風にものすごい個性がありますから。そういった意味で好き嫌いはあると思います。そりゃそうですよね、芸術家ってそうですからね。その傾向を作者側が読み取らなきゃいけないですよね。この先生はこういうのが好きだよなと読み取って提出しなきゃいけない。僕らレベルだったら、先生の好き嫌いは影響ないと思いますね。