役として生きるので、演技をしている感覚がない
――「スモーキング」のメンバーがテントで過ごすシーンは心温まる雰囲気がありますよね。
「スモーキング」は疑似家族を形成している設定なので、みんなにはお父さんみたいな雰囲気で接しています。
でも、依頼を受けたら「仕事は仕事だ」と悪を徹底的に倒すグループのリーダーになります。その点を声や表情も全く違うように演じ分けています。
――現場では、優しく見守る“佐辺ジィ”のような感じですか?
僕は役を頂いたらその期間は、役として生きるんです。カメラの前に立って演技をしているという感覚がないんです。なので、このドラマの撮影期間は日常から佐辺として生活しています。
――石橋さんがバンドをやられていた1970年代はロックが社会を歌う時代で、社会を風刺したりして、この作品で目指している“闇に対してのアンチテーゼ”のような一面があったと思いますが、通じるところはありますか?
原作を読んで共感できました。もしかしたら作家の方も以前に理不尽なことにぶつかった経験があり、漫画というエンターテイメントのカタチで世に出したのかな?と感じたんです。
僕も俳優として表現するのであれば、こうした意味のあるものに参加したいと思っています。
ミュージシャンと俳優は全く違う仕事で、プロの野球選手がプロのサッカー選手を兼ねているようなものだと考えているのですが、でも両方とも好きだし両方とも本質をつかみたいと思っているんです。
やはり自分ができることは歌を通して、または作品を通してメッセージを発信すること。そのメッセージを受け取ってもらい、未来への希望とかを感じてもらえたら、本当にうれしいです。
歌手冥利(みょうり)、役者冥利につきます。