「“テレビ屋”の下世話な感覚」を持つクリエイターを育成中【放送作家集団「SACKA(サッカ)」代表・山谷和隆氏】
IVSテレビ制作で活躍後、フリーディレクターを経て、仲間たちと共にジーヤマを設立。実に30年以上もの長きにわたって、テレビバラエティー界の第一線をひた走ってきた演出家の山谷和隆氏。現在監修を務める「火曜サプライズ」(日本テレビ系)や、「マネーの虎」(日本テレビ系)など伝説的な番組を作り出してきた自身の足跡を振り返ってもらいつつ、昨年立ち上げた放送作家集団「SACKA(サッカ)」の取り組みについても聞いた。
今のテレビは、“リアルなものをどうアレンジしていくか”がキーワード
――現在、山谷さんは「火曜サプライズ」に「監修」としてクレジットされていますが、具体的にはどんな仕事をされているのでしょうか。
「これまでは演出ということで、いろんなロケに行って、どういう撮り方をして、どう編集するのかっていう作業をやっていたんですけど、監修というのはもう少し引いた立場で。新しいロケ企画をうち(SACKA)の若い作家と一緒に考えて提案したりだとか、『こういうネタはどうですか』と提案したり、という立場ですね」
――放送10年目に入ってなお人気を誇っている「火曜サプライズ」ですが、番組を長続きさせる秘訣は?
「この番組に限らず、今のテレビは、“リアルなものをどうアレンジしていくか”がキーワードなんじゃないかと思うんですね。『火曜サプライズ』という番組でいえば、アポなしロケで、お店に撮影の交渉をしたり、街の人たちと話すことで、タレントの素の部分が出るじゃないですか。重要なのは、そのリアリティーをどうアレンジするか。いかにして、われわれスタッフが手を加えていないように見せるか…その編集がすごく難しいんですよ。もしかしたら『あの番組、編集してないんじゃない?』って思う方もいるかもしれませんけど(笑)」
――視聴者が「編集してない」と思うくらいのリアルさが面白いと。
「例えば、誰かがしゃべっていると、一瞬ふと無言になる。その瞬間の映像には、その人の表情とか仕草とか、すごくリアルな部分が凝縮されて映し出されるんですよね。だから、アポなしというのはすごくいい企画なんですが、一方で、そろそろ次を探さなきゃいけない時期なのかなとも思います」