「SMAP×SMAP」(1996~2016年、フジテレビ系)をはじめとした数々のバラエティー番組に携わり、現在は「フリースタイルダンジョン」(テレビ朝日系)、「ネタパレ」(フジ系)など人気番組の演出を担当する岡田純一氏。
くりぃむしちゅー・有田哲平のもとに多種多様な次世代の芸人たちが集い、ネタと生き様でバトルを繰り広げる「有田ジェネレーション」(TBS系)もまた、岡田氏が手掛ける番組の一つだ。
「番組からスターを生み出したい」と話す岡田氏に、自身の足跡やこれまで手掛けてきた番組の制作秘話を聞いた。
業界用語に憧れるテレビっ子だった
――岡田さんがテレビマンを目指すきっかけとなったのは?
小学生の時、テレビディレクターが憧れの職業だったんです。“シースー、ギロッポンと逆さ言葉の業界用語を使う大人はかっこいい”と思って憧れ、志すようになりました(笑)。
もともとテレビっ子でしたからね。『天才・たけしの元気が出るテレビ!! 』(1985~1996年、日本テレビ系)に影響を受け、裏番組の『ダウンタウンのごっつええ感じ』(1991~1997年、フジテレビ系)は録画して見ていました。
――やはりお笑い番組が好きだったんですね。
そうですね。でも、かっこいい映像を撮るMVやCMの監督さんにも憧れるようになっていきました。
――ターニングポイントとなった番組は?
ディレクターデビューだと思っているのは、スペースシャワーTVの音楽情報を伝える番組で任された、5分くらいの1コーナー。どこかで見たエア・ギターを取り上げようと思って、金剛地武志さんと番組の中でコントみたいなことをやっていたんですが、あれよあれよとエア・ギターで世界大会へ行く流れになって。金剛地さんが日本人で初めてだったんです。壮大なドキュメントになり、小さなニュースにもなったので、“持ってるかも”っていう錯覚に一瞬おちいりました(笑)。
「SMAP×SMAP」から学んだこと
――その後も様々な番組に携わっていますね。
今の自分の血となり肉となっているのは、やはり「SMAP×SMAP」(1996~2016年、フジテレビ系)ですね。番組が終了するまでの6年間くらいに携わりましたが、スーパースターが相手で、テレビ番組としてはエンタメのど真ん中であり、最先端にいるような感じだったので、「俺なんかで本当に大丈夫なのか?」と本当に緊張の日々でした。
最初に担当したのが木村拓哉さんと上戸彩さんの再現ドラマだったんですけど、頭の中は終始真っ白でしたね。“気がついたら家にいた”くらいの緊張感でした(笑)。でも、一流のキャストと、今ではありえない予算を使ったセットやCGを作る作業は、本当に刺激的で楽しかったですね。貴重な経験でした。
「スマスマ」の流れで「さんタク」(フジテレビ系)にも関わるようになったのですが、(明石家)さんまさんとお仕事できたのはうれしかったです。“人間パワースポット”みたいな方ですし、「スゲー面白い!。テレビと一緒だ」って、みんなが思う感想を体感しましたね(笑)。あと、打ち上げの席であだ名を付けてもらったんですけど、うれしさとありがたさのあまりにTATOOにしていれちゃいました。後日、さんまさんに見せたら、ちょっと引かれてしまいましたが(笑)。
ムーブメントを生んだ「フリースタイルダンジョン」
――現在も演出として携わっている「フリースタイルダンジョン」も、ひとつのムーブメントを作っていますね。
この番組の放送枠は、スポンサーである株式会社サイバーエージェントの意向にあわせて、鈴木おさむさんが半年ごとに企画を変えていたんです。けれど、あるタイミングで藤田社長(株式会社サイバーエージェント)から「『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』(BSスカパー!)みたいなことをやってほしい」との要望がありまして。藤田社長と親交のあるZeebraさんが企画も考えているということだったので、高校生ラップ選手権のファンだった僕に、おさむさんから“だったらお前やってみるか”って声を掛けられたのが始まりでした。
半年で番組が変わる枠だったのに3年目に入り、いろんな意味でラッキーでしたね。この番組が今のヒップホップブームのきっかけのひとつになっていると思うので、そこに演出として携われたことはラッキー以外のなにものでもないです。当初はただのバトル好きでしかなかったのですが、番組と共に僕もヘッズとして成長させていただきました。
――十分功績ありますよ(笑)。「フリースタイルダンジョン」がウケた要因は、どう分析されていますか?
「ガチなヒリヒリ感」が伝わったからかなと。あと、フリースタイルバトルが、まだそんなに世間に知られていない段階だったから、“こんなすげーもんがあるんだ”っていう新たなエンタメとして、テレビで紹介できたところですかね。フリースタイルの即興性で魅せるスゴさとかっこ良さが、伝わったんじゃないでしょうか。