大惨敗で火が付いた!?爆笑問題・田中裕二が語る競馬愛
2003年のレギュラー放送開始以来、多くの競馬好きを引きつけている番組「競馬場の達人」。競馬好きの著名人が競馬場へ行き、第1レースから最終レースまで予想し、実際に馬券も購入するという競馬ドキュメンタリーだ。番組内で語られる競馬愛はもちろん、馬券の当たり外れに一喜一憂する"ありのままのライブ感"が人気を博している。今回は「この番組の大ファン」と公言する、爆笑問題の田中裕二が登場。競馬にまつわるエピソードや番組の魅力について語ってもらった。
――田中さんは「東京スポーツ」で競馬予想の連載を長く続けていたり、以前は競馬バラエティー番組(「うまなりクン」)の司会をされたりと、芸能界の中でも特に競馬好きという印象が強いですが、競馬を始めてからどのくらいになりますか。
「競馬歴はもう30年くらい。でも、熱中するようになったのは始めて2、3年経ってからですね。最初からいきなりハマったわけではありません」
――それは意外です。競馬との出会いはどのようなものでしたか。
「1980年代の半ばぐらいに、周りの友人たちが競馬をやり始めて、その影響で僕も何となく競馬が気になり出したんです。ただ、初めは付き合いでたまに馬券を買う程度。競馬場に行くのも大きなレースがあった時だけで、友人に連れられてやっと行くという感じでした」
――今のようにのめり込むきっかけとなったのは?
「1990年の秋の天皇賞ですね。当時、大人気だったオグリキャップがこのレースでも1番人気だったけれど、結局は6着に敗れてしまって...。僕もオグリの馬券を買っていたから、共倒れ。でも、その大惨敗で火が付きました」
――「次のレースこそは当ててやるぞ!」と。
「自分の中のスイッチがオンになりましたね。『来週のレースはどこで何のレース?』という感じで、待ちきれなくなって。次の週の菊花賞はまた外し、さらに次の週のエリザベス女王杯では見事に的中させてと、勝ち負けを繰り返すうちに、有馬記念でオグリが奇跡の復活優勝を遂げた。感動しましたよ!そのころには、競馬週刊誌を欠かさず買い、競馬新聞も欠かさず目を通すようになっていました(笑)」
――これまでの競馬歴で、特に思い出に残るレースや競走馬は?
「うーん...。レースにしても馬にしても、思い出は数えきれないですよ。でも、あえて『馬を1頭選べ』と言われると、トウカイテイオーですかね。自分がどんどん競馬にのめり込んでいく、その真っ最中にさっそうと現れた馬なので。1991年の日本ダービーで勝った時は東京競馬場に行き、生で観戦しました。ああいう強い勝ち方の馬は忘れられないです」
――「東京スポーツ」での競馬予想では"穴狙い"のイメージがありますが、いわゆる"名馬"も好きなんですね。
「基本的にはスターホース好きですよ。競馬を本気で好きになり始めたころにオグリというすごいスターがいたこともあるし、その後もトウカイテイオー、ミホノブルボン、ナリタブライアン、グラスワンダー、ディープインパクト...。歴史に残る馬たちをリアルタイムで目の当たりにしてきたので。でも、馬券の買い方としては穴馬を当てるのが大好きだから、我ながら困ったもの(笑)。いつも迷いながら馬券を買っています」
――田中さんほどの競馬歴の長い方でも、馬券を買うときは迷うんですか?
「むしろ、競馬を始めて1、2年の初心者のころのほうが迷わずに馬券を買っていましたよ。競馬歴が長くなればなるほど、予想が外れる苦い経験も増えていくから、より迷うし、自信がなくなってきています(苦笑)」
――今回、出演される「競馬場の達人」は、以前からよくご覧になっていたそうですね。
「ファンですよ。見始めて、もう10年以上。いつも『もし自分が番組に出たら...』というシミュレーションをしながら見ています(笑)」
――この番組の魅力はどこにありますか?
「出演者たちの"人間"が、競馬を通じて見えてくるところですね。どういう馬券の買い方をして、レースの勝ち負けが出た時にどうなるのか。それぞれの人間性がにじみ出て、とにかく面白い。上から目線で意気揚々と予想していたのに、負けたとたんに不機嫌になる人もいれば、普段のイメージと違ってチマチマした馬券の買い方をする人もいる(笑)。共感したり、驚かされたり、競馬好きとして興味深い番組ですよ」
――今回、田中さんも番組内で実際に馬券を買われるわけですが、「東京スポーツ」と同じように穴狙いを?
「1日の全レースを穴狙いで買って、一度も当たらずに終わるのはしらけるし、だからと言って、堅い予想ばかりしてトリガミ(当たった馬券の払戻金の額が購入金額を下回ること)なのに『当たった!』って大喜びするのも恥ずかしいとな思っていまして...(笑)。だから、実際にどんな買い方をしたかは、番組を観てのお楽しみということで(笑)」
文=猫塚康一郎 撮影=中村宗徳