やっぱり明智には勝てないかも?
――前回の信長は、信長ではあるが平成の記憶を持った人でもあるという見え方でした。最終的に信長として戦国を生きることを決心しましたが、それによる役作りへの意識に変化はありますか?
鶏冠井:1つの高い壁を越えましたが、それで強い信長になれたかというと、やっぱりそうではないんですよね。平成の人の弱さというか、戦国の世ではまだまだ全然甘ちゃんで、洗礼を受ける場面もまたあったりして。でも、この作品の信長はそういう人物で良いと思ってます。
もちろん信長らしい強さは意識してますけど、現代人の弱さや優しさといったものがあるからこその行動と感じてもらえるように稽古しています。映画やドラマ、漫画とか、色んな作品でオンリーワンの信長がいるように、この「信長の野望・大志」だけの織田信長を作り上げていきたいです。
――谷さんは役作りに関してはどのように考えていますか?
谷:明智は何を考えているのか、心の中がまるで読めない謎多き人物なんですが、今回、彼の根幹みたいなところを描くシーンがあるんですよ。ここが明智の行動のきっかけになったのであろう、というシーンが。そこを明確に体現することができれば、皆さんの明智への感情移入も高まっていくんじゃないのかと思っています。
明智の野望、彼の心がどこに向いているのかをしっかり掴んだ上で、濁っているというか、正義とも悪とも取れる明智を見せたいですね。
――そういうことが描かれつつの、最終章へ、ですね。史実だと信長は本能寺の変で謀反に遭うわけですが、そこに向かうお気持ちはどうですか?
鶏冠井:めっちゃ怖いですよ。本心はどうあれ、「春の陣」では明智ってどんな時でも信長を助けてくれていたじゃないですか。「某に案がございます」と進言してくれたり。長政を殺すとかもあって家臣は怪しんでるけど、信長は分かり合いたいと思ってるんですよ。だからこそ、まともにやったら勝てないと思う。明智には(笑)。
谷:僕という明智は、孝介君が作る信長の優しさに上手く付け入ってる部分がどこかにあると思うんです。明智も信長も、それぞれの戦国武将は作品によって解釈が違うじゃないですか。「信長の野望・大志」の舞台では、平成の記憶を持った優しい信長らしくない信長がいて。僕は信長が陽だとしたら明智は陰だと捉えていて、その差が濃ければ濃いほど本能寺の変が酷いことになると思うんです。
それで役作りで考えていることが1つあって、信長に忠実な明智もいいんじゃないのかなと思ってるんです。忠実で信頼があるほど裏切った時の落差が大きくなって、それは王道な見せ方としてありじゃないのかと。
――久保田唱さん(演出家)に言われるがままではなく、自分で作った解釈を見せる場合もあるわけですか?
鶏冠井:そうですね。それが舞台の稽古なので。それはちょっと違うということもありますけど、演出家を超えた瞬間があると嬉しいよね。「それもあるか」って言ってもらえると、「よっしゃ!」てなるから。
谷:芝居は無限大で、「はい」のひと言でも何十種類とあるじゃないですか。面倒な時と体調が悪い時は全然違うものだし、大きな道筋が間違っていなければ解釈はどんどん考えるべきなんです。芝居は呼吸というか、役者同士の駆け引きでもあるし、座組の空気でも色々な芝居が生まれてくれるんです。稽古はそれを試せる場であるし、演出家との勝負の場でもあると思ってます。
――本番の公演ごとでも変わりますし、そこが舞台の面白いところですね。
鶏冠井:格好良いな。俺ももっと考えよう(笑)。
――信長と明智がどんな関係に振られていくのか楽しみです。「冬の陣」を経て、最終章が葛藤なのか、憎しみなのか、野心なのか。どんな感情で対決するのかと。
谷:明智は戦国武将の中で一番謎多き人物と言われているじゃないですか。それは僕にとってはとてもありがたいことで、どんな解釈をしても正解にすることができるんですよ。脚本がどうなるかまだ分かりませんが、僕が今思い描いているのは信長をとてつもなく落とし込んで、徹底的に悪に徹する明智です。
鶏冠井:それ、一緒のイメージかも。最終章、織田対明智と聞いて、家臣も城も、全部明智に取られた信長を思い浮かべたから。怖いなあ。
11月8日(木)~11月12日(月) 全9公演
東京・シアター1010
【HP】https://nobunaga-stage.com/
【Twitter】@nobunagastage
■鶏冠井孝介
【blog】https://ameblo.jp/kaide-kousuke/
【Twitter】@KAIDANGER_
■谷佳樹
【blog】https://lineblog.me/taniyoshiki/
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