――今回の脚本を読んだ感想は?
端的に申しまして“THE遺留捜査”とも言うべきものをお届けできる作品。
現場に残された遺留品から思いを辿ってある一つの真実を導き出すという、「遺留捜査」ならではの物語を保ちながら、これまでにはなかった「色」や「仕掛け」を盛り込んだ、スペシャルに相応しい展開になっているのではないかと思いました。
――例えば、どんな「色」ですか?
今回その「色」を一番もたらしてくださったのは、他ならぬゲストの美村さんだと、ぼくは思っています。これまでに登場したキャラクターとは又ひと味違う、とても強い女性を演じてくださいました。
その強さは、これまで美村さんの作品を多く御覧になってこられた方たちにも新鮮に映るような人物として楽しんでいただけるでしょうし、それが「遺留捜査」という作品にも、新しい風をもたらしてくれたのではないかと思います。
――美村さんとのお芝居で印象に残っているシーンは?
やはりフェンシングのシーンです。とにかく、美村さんの姿が凛々しくて、もう長年やってきたんじゃないのかなと思うぐらい自然と馴染んでいらっしゃったんです。
勿論お互いに役として相対しているんですけど、美村さんが、いかに桃子というキャラクターを作り上げているかが覗い知れるひとときでした。
事件の真実がひもとかれていく中で、全てが明らかになったときの美村さんの演技にもぜひ注目していただきたいです。
詳細を申し上げるわけには参りませんけど、美村さんがお持ちになっているキャラクターの造形力を堪能して頂けると思います。
――初挑戦となったフェンシングで苦労した点は?
試合シーンで打突の瞬間が描かれたんです。
もちろん、専門家の方にもお力をお借りして撮影しましたし、そのプロの方たちが相当手加減をしてくださっているということも承知してはいました。ただ、プロの方の打突は、しっかりと体重の乗った一撃が、剣先一点に集中して、結果想像していた以上の衝撃となって僕の身に襲い掛かってきたんです(笑)。
先端7mmぐらいの点になってドンと来ますので、その重さには大変驚かされました。
これが、本当の試合ならもっとすごい衝撃なのは容易に想像出来ました。撮影の合間に女性選手の方にお話しを伺ったんですけど、笑いながら「身体中、アザだらけです」と仰っていたのには、納得しかありませんでした。あらためて過酷な競技なんだと思い知らされたひと幕でした。
――今回の現場の雰囲気はいかがでしたか?
レギュラーチームに関しては空気が出来上がっておりますので、会っていない時間が多少あったとしても、そんなことは全く問題にならない関係性を保てています。
美村さんはゲストとして参加してくださいましたが、こちらが驚くぐらい自然な形で現場になじんでいて、それがとても印象的でした。
美村さんは話題が豊富な方。いろんなことに関心をお持ちで、どんな話題からもどんどん会話が膨らんでいくんです。
また意外な一面もお持ちで、ロケ現場に虫が現れた時には、美村さんがパッと捕まえて放してあげていました。「私、野育ちですから」と仰っていましたけど、凛とした佇まいとはまた違う美村さんの一面を垣間見ました。
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