シンガーソングライター・岸洋佑「芸能活動を一度辞めて、再び戻るなんて気持ちは1mmもなかったときに作った曲です」【インタビュー後編】
この曲はですね……すべて実話です(笑)
――また、タイトルからしてインパクトのある「牛丼の歌」についても教えてください。
岸:この曲はですね……すべて実話です(笑)。
――<ご褒美は豚汁変更(給料日) 節約は牛皿テイクアウト(ご飯炊く)>というフレーズは妙にリアリティがあるなと思っていました(笑)。
岸:まさにそうです(笑)。サラリーマンになる前のバイト時代は本当にお金がなくて、給料日がすごくうれしかったんです。今はしょっちゅう豚汁に変更しちゃうけど(笑)、当時はプラス100円とか150円とかってすごいことで。やっぱりいまだに吉野家が自分にとってのご褒美ですから。
――歌詞の中には<学生の頃母からのアドバイス 『初デートの夕飯牛丼屋はダメだよ』>というフレーズも出てきます。これも実話なんですね。
岸:はい。しかも、行こうとしていたのでギクッとして(笑)。母はすごくカッコいい人で、僕に大好きな彼女ができたとき、デートに行ってくるわって言って出掛けようとしたら玄関に来て「あんた、絶対女の子に払わせるんじゃないよ」って1万円を渡してくれて。あと、牛丼屋は絶対ダメだからねって。僕、それが初デートだったんですよ。だから、以来一度も女性に(お金を)出させたことがないんです。
――素敵なお母さんですね。
岸:あとで聞いたら、父親に最初に牛丼屋に連れて行かれて、すごく萎えたらしいんですけど(笑)。でも、僕自身は子供の頃によく母親に牛丼屋に連れて行ってもらっていたので、そういう意味では牛丼を一緒に食べられる方と結婚したい気持ちもあるんです。ただ、初デートで牛丼屋はダメだ、と。今となってはその教えが役に立っていると思います。
――牛丼の歌ではありつつ、親孝行の歌でもあるんですね。
岸:そうなんです。曲自体は、急に牛丼の歌を書きたくなって、15分くらいで歌詞もメロディーも出てきたものなんですけど。正直に言うと、最初はふざけて書いたんです。でも、“真面目にふざける”というのをテーマにしていて、「牛丼の歌」というタイトルなのに、イントロから裏切ったら面白いんじゃないかなって。歌詞の方も、結局「牛丼が好き」としか言ってないのに、最後まで聴いたら結構いいこと言ってるみたいな。そんな曲にしたかったので、アレンジはback numberさんをイメージしました。母は、わざわざお母さんのことを書いた曲だとは伝えていませんでしたが、この間のライブで聴いてくれて、「書いたのね」って言っていました(笑)。
楽曲情報
「THE ONEMAN’S」発売中 日本コロムビア 2200円