映画通スピードワゴン小沢一敬が語る、“ダサかわ”ヒーローが登場する異色作「シャザム!」 <ザテレビジョンシネマ部>
映画を愛するスピードワゴンの小沢一敬さんならではの「僕が思う、最高にシビれるこの映画の名セリフ」をお届け。第11回は、アメコミ映画史上最年少の“ダサかわ”ヒーローが登場するDCユニバースの異色作『シャザム!(2019)』 (1月25日[土]夜8:00 WOWOWシネマほか)。さて、どんな名セリフが飛び出すか?
──今回はDCコミックスのヒーロー、シャザムの映画ですが、小沢さんはDCとかマーベルとかのシリーズは観てますか?
小沢「全部じゃないけど、観てますよ。もちろん、好きなのもあれば、そうでもないのもあるって感じで。「X-MEN」シリーズなんかは好きなんだけど。基本的に俺は、ヒーローものとかファンタジーものは嫌いじゃないから」
──今回の映画版『シャザム!』はいかがでしたか?
小沢「この映画さ、映画館で予告編を何回も観てたのよ。その予告編がコメディ・タッチだったから、そういうつもりで観始めたら、最初の10分ぐらいがすごいシリアスな展開だったでしょ? 俺、間違えて違う映画を観ちゃったかと思って(笑)」
──確かに、あの予告編のノリとは違う始まり方でしたね。
小沢「そうそう。ナメてたっていうか、だいぶ軽めの映画だと思ってたのに、ダーク・ファンタジーみたいな導入だったから。こっちも夢中になって観てたら、途中からちゃんと軽いノリの映画になったよね(笑)。でも、結果的にはよかったよ。とても楽しめる映画だった。エンディングにラモーンズの曲が流れるのも最高だったし」
──ラモーンズの「I Don't Want to Grow Up(邦題:大人になんかなるものか)」でしたね。まさにこの映画のテーマ・ソングにふさわしい曲で。
小沢「俺も子どもの頃はさ、絶対にヒーローになれると思ってたの。ああやって誰かに選ばれる少年だと信じてた(笑)。男の子はみんな絶対どこかでそう信じてたと思うけど。ただ、俺らの時代のヒーローって真面目で真っすぐだったけど、シャザムは斜に構えてて、世の中を俯瞰で見てるじゃない。これってたぶん、いろんなヒーローものを通過してきた人が作ったヒーロー映画なんだろうね。メタ的な構造が、ホラー映画の『キャビン(2011)』と似てる。ヒーローものの定番ネタでいちいちボケを入れてたり。だからヒーローものをたくさん観てきた人は、より楽しめると思う」
──それでいて、マニアックに走り過ぎてないから、ヒーローものに興味なかった人でも楽しめますね。
小沢「そうだね。子どもが初めて観るヒーロー映画としても、純粋にハッピーで楽しいし。勧善懲悪だけじゃなく、友情とか家族とかのテーマもちゃんと描かれてるし。あえて褒め言葉として言わせてもらうなら、“最高のB級映画”だよね」
──確かに、そういう感じの位置付けですね。
小沢「笑いの要素も多いし、スピード感とテンポ感がいいから飽きないで観られるし、娯楽のB級映画として最高だと思う。吹替版と字幕版でそれぞれ面白さも違うから、両方観てほしいね。もちろん欲を言えば『もっとこうしたらよかったのに』って思う部分もあるにはあるんだけど、たとえそこをうまく詰めたところで、決してA級やS級にはならないと思うから、この映画は(笑)」