「スカーレット」波乱の展開に、戸田恵梨香「こんな重い言葉があるのだと、鳥肌がたちました」<後編>
戸田恵梨香「一番衝撃的で、台本を読んだときに涙がとまりませんでした」
17週あたりになると、喜美子はなんとしても自然釉というものを完成させたいという気持ちが強くなるんです。窯だきに使うお金について、ハチさんが「武志のためのお金やろ」というのも正論なのですが、喜美子には武志のお金を使って申し訳ないという気持ちは一つもないんです。
ハチさんと離れてからは、ハチさんと離れたことに対して、武志に申し訳ないという気持ちを持つけれど、お金に対してはないんです。
恐怖と責任を負っているし、絶対に成功させてやる、成功するまではやめたらいけない、それこそすべてが水の泡になる、と考えているのだと思いました。
喜美子が穴窯を作ると決め、成功を目指し没入していくころから、急に喜美子の人が変わったようになるんです。第17週100回(1月30日)の放送で、照子が喜美子のもとに来て「目え、覚ませ」と言ったとき、喜美子は「ひとりもええなあ」と返しました。このセリフが、17週まで演じてきた中で一番印象に残ったせりふです。
一番衝撃的で、台本を読んだときに涙がとまりませんでした。「ひとりもええなあ」というのは、今までの自分の人生を全部否定するような言葉じゃないですか。
今まで、ずっと誰かのために生きてきて、それが喜美子の幸せでもあって、心の支えでもあったのに…。こんな重い言葉があるのだと、鳥肌がたちました。