吉高由里子ら出演のコメディー「ロボジー」の矢口史靖監督、アニメに挑戦!
ロボットの開発を命じられた家電メーカーの社員が、壊れたロボットの代わりに、ロボットの中に老人を入れてごまかそうとしたことから起こる騒動を描いた映画「ロボジー」のブルーレイ&DVDが8月3日(金)に発売される。本作のほか、「ウォーターボーイズ」('01年)や「ハッピーフライト」('08年)などヒット作を手掛けてきた矢口史靖(しのぶ)監督に話を聞いた。
ロボットの中に人間を入れる奇想天外な設定の発想の原点については、「元々はロボット好きだったというのがきっかけです」と語る。「でも、好き過ぎて映画にしようなんていうことはちっとも思いませんでした。ASIMOが出てきて、あそこまで細かな人間に近い動きができるぐらいロボットが進化したということは、逆から見ると、人が入ってもごまかせるんじゃないかなと思いました。でもキビキビした動きを自然にできる人が入っても面白くないので、お年寄りが中に入ることを発想しまして。だからASIMOがいなければロボジーもなかった」。
老人が中に入るロボット“ニュー潮風”の造形もこだわりがある。「初めて見るのに懐かしい感じ。今までのロボット映画の格好良さではなく、日用品を組み合わせて作ったような既視感。電子ジャーに見えるとか、湯沸かし器みたいだとか。だからなのか、男女問わず好かれるんですよ。かわいいって言ってくれる方もいますし、工業系の方は『構造的にリアルだ』って言ってくれたりしました。受け入れてもらえるのは、やっぱり誰もが見たことがある、拒絶するような部分が少ないからじゃないかと思います」。特に味のある顔が印象的だ。「表情がないくせにいろんなシーンで表情が見えてくるんですよね」。
そのロボットに入る老人を、五十嵐信次郎が演じている。五十嵐信次郎とは歌手であり俳優でもあるベテラン、ミッキー・カーチスの変名だ。「僕からお願いしました。撮影後半になって、『ミッキーさん、日本人の名前で出てみませんか?』と。髪の毛も全部切ってひげもそったので、一見すると誰だかわからないから、“謎の老人X”みたいにできないですかねってお願いしたらものすごく面白がってくれて」。五十嵐信次郎という名前はミッキーからの提案だったという。「昔から、もし日本人の名前だったら五十嵐信次郎になりたいと思っていたと。…さっぱり理由が分からないんですが(笑)」。
そのロボットに恋してしまう(!?)ロボットオタクのヒロインを演じたのが吉高由里子。「ヒロインの葉子という役が、映画の中でころころキャラクターが変身していくんです。変態チックなロボットオタクかと思ったら、ちゃんと理系の大学生で、かと思ったらものすごくニュー潮風を憎むブチ切れキャラに変わったり、はたまたリクルーターになったり。間違っちゃうと漫画みたいなキャラクターになってしまうんですが、それをリアルに演じられる人をオーディションで探しました。できたのは吉高さんだけ」。
家電メーカーのロボット開発部の3人に扮(ふん)した、濱田岳、川合正悟(Wエンジンのチャンカワイ)、川島潤哉の凸凹トリオも大いに笑わせてくれる。「台本に見た目と性格を変えようがないぐらい書き込んじゃってたんで、そこからキャストを探すというのが至難の業でした。よく見つかったなあと今でも思います」。3人の外見については撮影時に手を加えたとのことで、「濱田さんは当時ドラマを撮影した直後だったので丸坊主だったんですね。だから映画の中では“全カツラ”です。川合さんはもともとくせ毛ではあるんですが、あんなにパーマではないので、毎朝ドライヤーでクリンクリンにしました。川島さんの髪の毛は、片側だけヘアピースをたくさんつけて髪の毛の量をだいぶ増やしています。軍事評論家の江畑謙介さんのように、流れる雲を頭の上に乗せているイメージになったら面白いなあと思って」と振り返る。「3人ともメークに時間のかかる作業で、吉高さんのほうが早く済んだくらい」。
今回発売されるブルーレイ&DVDには、「ロボジー」本編に登場するサブキャラを主人公にしたサイドストーリーと、ニュー潮風が登場するアニメ「アニメカ」が特典映像として入っている。「つい勢いで『特典映像にアニメはどうでしょう?』って口を滑らせたらそのまま巻き込まれるように、脚本も絵コンテも監督もやることになりまして…」。短編ながら矢口監督の初アニメ監督作となる。「本当はじいさんが入っている着ぐるみロボットという映画の設定を一旦忘れて、あの憎たらしいヘンテコロボットが好き放題暴れたらどうなるかという面白さに焦点を当てて作りました。映画以上に羽目を外して暴走しているので、アニメ界に一石を投じる作品になったと思います(笑)」とのことで、こちらも本編に劣らず期待できそう。
また、ブルーレイ&DVDリリース日の8月3日(金)には、東京・秋葉原のヨドバシカメラマルチメディアAkibaで、撮影で実際に使用されたニュー潮風が登場する「夏だ!ヨドバシ!ロボジー祭り」が開催される。日中、何回か秋葉原界隈にニュー潮風が姿を現す予定で、こちらも要チェックだ。
8月3日(金)発売
DVD2枚組 6090円
Blu-ray2枚組 7875円
東宝