「ハビエル・バルデムの演技が参考になりました!!」 高良健吾がドラマ「罪と罰」の撮影秘話を明かす!
'12年にWOWOWにて放送されたドラマ「罪と罰 A Falsified Romance」(以下「罪と罰」)のDVDが1月23日(水)に発売される。
本作は、小説家を志望する引きこもりの大学生・弥勒(高良健吾)が引き起こす殺人事件を軸に、「人はなぜ人を殺してはならないのか」「人間が他の動物と異なる存在である根拠は」といった人類の普遍的なテーマに挑んだ重厚な作品。どのようにこの重たいテーマに取り組んだのか、主演の高良健吾に撮影の秘話を聞いた。
――「罪と罰」がDVD化されますが、今から振り返るとどんな撮影現場でしたか?
「撮影期間の1カ月半、ずっとしんどかったです。弥勒が殺人を犯す前と後を一日の撮影の中で撮ったりしたので、気持ちの持っていき方が難しかったですね。『人が人をなぜ殺してはいけないか』というテーマなので、せりふも難しかったですし、弥勒の心に寄り添いながらやれって言われても難しかったです。僕としては何で人を殺しちゃいけないか分かっているのに、別の考えを持つ弥勒として現場にいることが大変でした」
――つらかったことを踏まえて、主人公の弥勒を演じる上で気をつけたことはありますか? また、重たい役を演じる上で役とプライベートの切り替えはどのようになさっていますか?
「弥勒を演じていく中で記憶に残っている監督の指示は、里沙(小野明日香)を殺す前に里沙に抱きしめられるシーンです。監督に『憎め! 憎め! 憎め!』って言われて。里沙に頭を抱きかかえらながら、自分でも『すごくナイーブだな』という表情になっていました。でも、僕のスタンスとして、ある作品のある役はそのカメラの前で全てが完結すればいいと思っています。役としてただカメラの前にいる、台本に書いてあることをただせりふとしてしゃべっていく。『罪と罰』の撮影前に、映画『バベル』などのアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の作品『BIUTIFUL ビューティフル』('10年)を観たんですけど、主演のハビエル・バルデムの演技が参考になりました。表現の仕方がその場だけで完結しているような気がして、素晴らしかったです。お客さんに向くというより、自分の半径数mの中に全部があって、こっち(観客)に来ない(訴えてこない)から逆に感動しちゃう。素晴らしくそこにいるだけ。弥勒を演じることとフィットしましたね。『罪と罰』の撮影中は、ほぼ現場で休みがなかったです。そもそも仕事だからオン、休みだからオフというふうには考えてないです。ほぼ現場とは言っても、家に帰ると現実がまってますからね。洗い物したりとか(笑)」
――「罪と罰」での主演を含めて'12年はどんな年でしたか? 映画で言えば「キツツキと雨」「シグナル 月曜日のルカ」「苦役列車」と3本の出演作が公開されて、どれも全くタイプの異なる役でしたが。
「いろんなことが楽しめた、いい一年でしたね。その前の年から自分の苦手なことや嫌なことを楽しんでやろうと思っていました。例えば、『罪と罰』では、ちゃんと製本された台本が上がってきたのがクランクインの3日前だったんですけど、楽しめました。'12年に演じてきた役ですが、自分の中では同じ役なんて全く無いし、同じ人間がこの世にいないので、役の振れ幅はあまり考えてないですね。確かに、この役は笑うことが多いなとか暗いなとか分かりやすい違いはどの役にもありますけど、その役でしかできないことっていうのは必ずあるので、それに取り組みたいと思っています」
――'13年も映画では「きいろいゾウ」(声の出演)、「横道世之介」、「千年の愉楽」など出演作が続々と公開されますが、今後の目標をお聞かせください。
「その瞬間瞬間でしかできないことばかりなので、ひとつひとつをしっかりとがんばりたい。例えば、今回の『罪と罰』の弥勒もあの時点しかできなかった役だと思う。もう一度やれと言われてもできないし、やったとしても別のものしかできない。あの瞬間だから出てきた言葉や表情があって、あの時にやれたことを超えることはできない。うまい下手じゃなくて、その瞬間しかできない反応があるんです。目標というわけじゃないですけど、製作期間や準備期間がしっかりとある海外の作品にも出てみたいという気持ちもあります」
DVD BOX 1万1970円
Blu-ray BOX 1万4490円
発売中
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