“クズ芸人”スパローズ結成20周年「恩返ししたい」
8月21日(金)に結成20周年記念ライブ「クズ成人式」を開催するスパローズの森田悟と大和一孝にインタビューを敢行。“クズ芸人”と称されることに対しての気持ちやライブへの意気込みに迫った。
本ライブは、「キングオブコント」2年連続セミファイナリスト、「THE MANZAI」3年連続認定漫才師という実力の持ち主でありながら、ヒモ、タカリ、借金、自己破産、ネタは頑張らないのは当たり前で、“クズ芸人”の代表格として扱われてきたスパローズの結成20周年を記念して開催。
福岡から上京してからはワタナベエンターテインメント、浅井企画と事務所を転々したことで、大物芸人たちに気に入られるという才能を生かし、お笑い界を渡り歩いてきたスパローズ。その恩恵をライブにも反映し、関根勤や小堺一機など名だたる先輩から「20周年のお祝いとして御祝儀をもらおう」という企画も行い、ライブでその様子を披露する。
――これまでの20年を振り返っていかがですか?
森田:そうですね…20年振り返る時間あります? 相当長いですよ(笑)。
大和:20年間ずっと同じ頑張り方をしてたわけじゃないので、僕は性格が3回くらい変わってます(笑)。
森田:周りの人に「大変ですねぇ」とか「よく続けてますねぇ」とか言われますけど、僕たち高校卒業してからすぐにこの世界に入ったのでこの世界しか知らないんですよね。だから大変さとかそこまでよく分からなくて。ただ、20年で一つ自信があるのは、その辺の同い年よりはいいもの食ってます(笑)。売れてなくてもうまいものは先輩の力で!
――一番お世話になった先輩は?
大和:選べないですね…。
森田:まぁ、でも最初にいろいろと教わったのは(博多)華丸・大吉さんですね、悪いことも(笑)。
大和:ワタナベ(エンターテインメント)にいた時は、ネプチューンさん、TIMさんとかお世話になったし、今はキャイ~ンさんとかにお世話になってます。
森田:僕は今(ナインティナインの)矢部(浩之)さんにもお世話になってます。だけど、20年という長い月日があったので、遊んでくれてた先輩たちが結婚して子供生まれたらあまり相手してくれなくなりました(笑)。
――“クズ芸人”としての起点は?
大和:僕の借金のことがあったり事務所を首になったり起点はいくつかありますね。
森田:「あ、こういう感じでもいいんだ」って思ったきっかけはあります。吉本(興業)さんに浅草のライブに呼ばれたんですよ。僕らは「怒られてもしゃあない」と思って吉本の悪口を言うネタをやったんですよ。そしたら次も呼ばれて浅草の社員の方が「また吉本の悪口言ってください」って言ってくれて、そこで初めて「あ、こういうのってありなんだ!」って思いました。
大和:人気のある芸人を人気のない芸人がバカにするパターンはよくあるんですけど、そういうのじゃなくてもっと大きな敵(事務所とか)を相手にすると、その会社からも芸人からも褒められるし、大きなものと戦うと感じよく見えるみたいで(笑)。
森田:だから「あ、言った方がいいんだ」って思うようになって。20年売れてないっていうのがあるから「あいつら文句言いやがって」ってならないんですよね、「もう言わせておけ、仕方ない仕方ない」って言われるようになりました。だから、極力行った場所では文句を言うようにしてます(笑)。
――事務所に対して文句言ったりするのを始めたのはどれくらいからですか?
森田:5年前の15年目くらいからですね。その流れで“クズ”の感じでライブに呼ばれるようになりました。「これの方が呼ばれるんだな」って思いました。
大和:もともと自虐ネタ作ったのも普段言ってるグチをそのまま言ってみてからで、意外と「いいね」とか言われるようになったんですよね。ただのグチだけど大丈夫かなと思いながらある局でネタ見せをしたら「これが漫才だ!」って「これが本当の漫才だ、気持ちをぶつける」って言ってもらえて(笑)。
森田:(「THE MANZAI」で)認定漫才師にもならせてもらって、若手も俺たちのこと漫才師だって思ってますけど、15年目まではほとんどコントやってました。僕らは漫才をやってるつもりはないんですよ。
大和:普段言ってる悪口をスーツ着てサンパチマイクの前でやると漫才に見えるだけで(笑)。
――“クズ芸人”って言われることに関してはどう思いますか?
大和:(周りの)みんなそう思ってるから「金貸してください」って言うと「来たな」って笑うんですよ。そうするとお金とか借りるのも楽だし、悪口言うのも「こいつらに言われてるけどどうせ誰にでも言ってるんでしょ」って許してくれる(笑)。
森田:ヤンキーの子がちゃんとあいさつするといい子に見えたりするのと同じように、僕らがちゃんとあいさつしたりお金を返したら「こいつら裏ではしっかりしてるんだな」って思われるんですよ(笑)。
大和:ただあいさつするだけで評価につながるんで僕らにとってはメリットです(笑)。
森田:この前なんて、事務所の事務の人に「いつもありがとうございます」ってお茶菓子を差し入れしたら目をうるうるされました(笑)。
――そんなスパローズの魅力はどこだと思いますか?
森田:魅力っていうか、何も隠してないですね、ここまで隠さずに全部言ってるやつそういないと思います(笑)。僕らがやってるインターネット番組を見てくれてる視聴者は大和さんの生い立ちを全部知ってるくらいさらけ出してる。こんなに全てをさらけ出してる芸人は他にいないと思うので!
大和:居酒屋でひどい話してる芸人いるよ、っていうのはあると思うんですけど、ネット番組で言わなくてもいい話をしてるんで。裏より表がひどい芸人です(笑)。
――今回のライブの見どころは?
大和:VTRが、そこそこ売れた芸能人の結婚式より豪華なんじゃないかっていうくらい、すごい人が出てる。それが出来上がった後にネタを作ったのですごいプレッシャー感じて、いいネタができてるかもしれないです(笑)。
森田:VTRが強いんで、それに負けないネタをっていう気持ちと、VTRはすごいのできてるからお客さんは満足するなという安心があります(笑)。
――スパローズのこれからの目標は?
森田:ああ、一番苦手な質問が(笑)。先を見据えるっていうのがね…。
大和:定期貯金が一番嫌いですからね(笑)。
森田:でもこうやっていろんな人が僕らに手を貸してくれるっていうのがわかったんで恩返しできるようにしたいです!
大和:売れてないだけで、売れる前の協力者がいることは分かったので、時間たつのだけ待ってたら売れるんじゃないかなとも思ってます(笑)。
8月21日(金)
東京・TFMホールにて公演