NBAアナリスト・佐々木クリスがプレーオフ最速予想!
世界最高峰のバスケットボールリーグ・NBAの2015-2016シーズンが、間もなくプレーオフに突入。今回、WOWOW NBA中継で解説やリポーターを務めるNBAアナリスト・佐々木クリスを直撃。東西カンファレンスの本命と対抗馬を軸に、プレーオフの注目ポイントを語ってもらった。
――日本時間の4月17日(日)から、いよいよNBAのプレーオフが始まります。最初に東カンファレンスから、プレーオフの注目ポイントを教えてください。
まずは、クリーブランド・キャバリアーズ。優勝以外は、そのシーズンはほぼ失敗と言われてしまうような、それだけ期待値の大きいチームです。首位をしっかりキープしていますが、1月にヘッドコーチの解任がありました。解任の後に、ペースを上げたい、変革をしたいとは言っていましたが、不安材料としては、そんなにペースが変わっておらず、ディフェンス力も若干落ちてしまっています。結局はレブロン・ジェームズ頼みなのかな…と、ファンの人たちも心配せざるを得ないような状況になっているんですよね。
西カンファレンスのゴールデンステイト・ウォリアーズか、サンアントニオ・スパーズが順調にファイナルまで来ると考えると、やはり今のチーム力に上乗せしないといけない。元々オフェンスの爆発力は十分にあるので、プレーオフで、それとディフェンスをどう連動できるか。また、特に僕が注目したいのは、レブロンがいる日といない日で、チーム全体のアシスト数の差が大きいということ。レブロンがいない時に、同じボール回しがどう出来るかですね。もう一つ、レブロンはリーダーシップを各選手に植え付けていかなきゃいけない。
レブロンの一番の誤算は、キャブスに来たときに、ケビン・ラブはクリス・ボッシュではなかったし、カイリー・アービングはドウェイン・ウェイドではなかったということです。彼らは、自分と同等かそれ以上の、バスケットの経験やリーダーシップを持っていた、バスケットIQの非常に高い選手でしたよね。決して同等のことがラブやアービングに出来ないわけではなく、まだそのレベルに達していないということです。マイアミ・ヒートという組織と規律の中で、レブロンは素晴らしいリーダーシップを発揮していました。
レブロンはそこから脱却して、自分がある意味トップとして、同じようなことをキャブスで出来ると思ったわけですよね。現状では、チームメートたちに響かない部分や、フロントやメディア、ファンに伝わらない部分もあると思います。ここであくまでポジティブに、リーダーシップを取って、周りの選手たちを認めて伸ばしてあげるのかが大事なことだと思います。直接的にはバスケットとは関係ないんですけど、そういう人間的な部分もスポーツにとっては大事なので、そういったところが出来れば優勝のチャンスも出てくると思います。
――東カンファレンスでキャバリアーズの対抗馬となるのはどのチームでしょうか?
皆さん、トロント・ラプターズがすごく良いとおっしゃいますよね。球団初の50勝到達もありましたし、僕も大好きなチームです。また、キャバリアーズに対抗するという意味で面白いのはマイアミ・ヒートですね。NBAは、特にプレーオフに入ると、各チームの強みと弱み、それがどう対峙するかによって全く結果が変わってきます。さらに、コートに出ている5人のマッチアップが、どう噛み合うのか、噛み合わないのかとなってくると、ヒートはキャバリアーズに対して、非常に多くの問題を提示できるチームなのかなと思いますね。
あと、キャバリアーズに対してどこまで出来るか分からないけど、ボストン・セルティックスはすごい台風の目になる気がしています。1回戦で当たるのがキャバリアーズでない限りは、組み合わせ次第ではプレーオフ東決勝まで行ってもおかしくないような、勢いがあるチームなのかなと思います。
――続いて、西カンファレンスの注目ポイントを教えてください。
ゴールデンステイト・ウォリアーズとサンアントニオ・スパーズ、これだけ素晴らしいチームが2つ、1シーズンの中で存在したことはかつてなかったわけですよね。ファンならば、プレーオフ西決勝でウォリアーズとスパーズの7戦シリーズが見たいのは当然かと思います。シーズン前の優勝予想は…すみません、僕はオクラホマシティ・サンダーだったんですけど(笑)、これだけウォリアーズが連勝して、72勝に追いつき、追い越せるかというシーズンになるとは正直予想していませんでした。
昨季からパワーアップしている要因で、一番大きいのは組織としての継続性でしょう。シーズン途中でヘッドコーチが変わるチームは、得てして成功しません。一貫していなければ、毎日積み重ねていかなければ到達できない高みというのがあると思うんです。あとは、ステフィン・カリーの成長。カリーはシーズンMVPを獲った選手の中で、翌年の平均得点のアップ率が史上最高で、6ポイント以上も平均得点を伸ばしています。MVPは確実で、史上初めて満場一致で選ばれるかどうかっていう議論が起きているくらいです。
――西カンファレンスでウォリアーズの対抗馬になるチームはどこでしょうか?
スパーズが筆頭ですけど、サンダーはスパーズよりも運動能力がありますよね。攻撃に関しては、ケビン・デュラントとラッセル・ウェストブルック、リーグでトップ5の選手が2人いるといっても間違いない。ゲーム終盤のプレーの遂行度など、細かいことを見ていけば粗探しは出来ますけど、一番の課題はディフェンスですね。やはりウォリアーズ、スパーズ共にオフェンスが素晴らしいチームですけど、これだけ歴史的なチームになれているのは、やはりディフェンス力があるからだと思います。
普段のNBAのシーズンは、攻守両方で10位以内に入ると優勝が狙えるチームと言われるんですけど、今年はウォリアーズとスパーズがいるので、両方で5位以内に入っていないとチャンスはないと思っているんです(笑)。サンダーがシーズン中には到達できなかったディフェンスのレベルに、果たして到達できるのか。そういう意味では、運動能力ではウォリアーズやサンダーには対抗できないけど、スパーズが一番の対抗馬と見られるのは順当ではないかと思いますね。
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