【笑ってはいけない】遠藤章造インタビュー「僕の人生の全てが詰まった番組です」
「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」(日本テレビ系)が誇る、大みそか恒例の超大型特番「笑ってはいけない」シリーズから、'15年に放送された「絶対に笑ってはいけない名探偵24時」が、ついにブルーレイ&DVDとなって登場! そして、今年の大みそかも新作「絶対に笑ってはいけない科学博士24時!!」の放送が決定!! “笑うのをガマンできなければお尻を叩かれる”という長時間耐久企画の舞台裏を探るべく、今回はココリコ・遠藤章造を直撃。
毎回、両親や弟、果ては元嫁の千秋までがサプライズ出演し、私生活の恥ずかしいエピソードを暴露されるなど、「ガキの使い」メンバーの中でも、こっぴどくイジられることの多い彼が、「笑ってはいけない」シリーズに対する思いをあらためて語ってくれた。
――「名探偵24時」で、最も印象に残っているのはどのシーンでしょうか?
やっぱり僕の家族ですねぇ。この回は、鬼ごっこ(「絶対に捕まってはいけない名探偵」)の鬼の役で登場しましたからね。それも普通の鬼じゃないから。浜田(雅功)さんをマッサージしておいて、電気アンマをかけたりとか。しかも家族3人がかりで(笑)。もう謎すぎますよ。
――そのあと、助っ人ゲストの柳楽優弥さんも遠藤ファミリーの餌食になってましたね(笑)。
うちのおやじとお袋が、柳楽くんに「章造の俳優活動をよろしくお願いします!」って(笑)。そんなこと言われたってねぇ、柳楽くんもリアクション取りようがないでしょ。本当、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
――(笑)。ご家族の皆さんは、事前にこっそり「今年も『笑ってはいけない』に出るよ」と教えてくれたりはしないんですか? 「今年は鬼ごっこの鬼をやるから」とか。
いやいや、絶対に教えてくれないですね。そういう雰囲気さえも出さへん。一生懸命、言わんようにしてるんでしょうね。僕、大阪で仕事があるときはちょくちょく実家に帰ってるんですけど、「笑ってはいけない」の収録の準備が始まる秋ぐらいの時期は、家の中に変な緊張感が走るんですよ(笑)。ただまぁ、僕としてはもう毎年覚悟はできてるんで。
――確かに「絶対に笑ってはいけないホテルマン24時」(’09年)以降、遠藤ファミリーは毎年何らかの形で登場しています。
ただ、最近は1回の収録で2回以上登場するのがパターンになってきてるから、どこでホッとしたらええのか、というのはありますけど(笑)。「名探偵24時」のときは、まさかの場面で再登場したんで、「ここで来たか~」って。感心しちゃいましたね(笑)。
――収録後に、番組の内容についてご家族とお話しされたりすることはあるんですか? 例えば反省会とか…。
ないです、ないです(笑)。もはや年に一度の恒例行事みたいなもんやし。「あそこはああしとけばよかった」なんてことも一切考えてないと思いますよ。
――その無欲なスタンスが笑いにつながっているんでしょうね。
まぁそうですね、変に調子に乗ってないから、面白がっていただけてるのかなと。せりふを必死で覚えたのに本番で頭真っ白になって、何とかしようとして空回りしてるっていう、そういうおやじの姿が笑えるわけですからね。その辺りの素人の生かし方に関しては、「ガキ」のスタッフは皆さん、熟知してますし。
ただ、そういえばね、僕、毎年正月休みにおやじとお袋を連れて旅行に行くんですけど、空港とか駅とかで顔を指されるのは、たいていおやじなんですよ。僕よりも先に「遠藤のお父さんだ!」って(笑)。本人は恥ずかしそうにしてますけど、なんかそういう変なねじれ現象は起きてますね(笑)。
――「ホテルマン24時」で弟さんが初めて登場したときの遠藤さんの反応も最高でした(笑)。
あのときは、千秋の再婚相手として登場したんですよね。“3代目おにぃ”っていうキャラクターで(笑)。あいつはとにかく根が真面目で、人前に出るようなタイプじゃないんですよ。緊張しぃで、極度のアガり症やし。そんな男が、いきなりスーツを脱いでブリーフ一丁になって、「ホホホイ」をやってるっていうね…。あれはほんまに恥ずかしかったなぁ。
――ところで、「ガキの使い」のメンバーの中では、ココリコのお2人が最年少なわけですが…。
いや、言うても僕、45歳ですよ? 「ガキ」では若手ですけど、よその現場行ったら、自分が最年長なんてこともザラにありますし。45歳の男が70歳の両親と共演するって、なかなかの気まずさですよ(笑)。
――でも、一番の若手としては、率先して張り切らなきゃいけない場面もあるんじゃないですか?
いやぁ、僕らでさえ、最近は老いには勝てないなと思うことは多々ありますよ。夜中になって、みんな疲れ切って無言の時間が始まったりすると、「よし、ここは俺たちがひと笑いを!」とか思うんですけど、体も脳も全然反応しない(笑)。どうしようかと思って田中(直樹)とアイコンタクトを取ろうとしても、あいつ、パッと目をそらすんです(笑)。
――また、「笑ってはいけない」シリーズの近年の見どころとして、部屋の中でダウンタウンが2人っきりになるシーンもありますが。
確かに、僕らも楽しみにしてるところはありますね。(月亭)方正さんと田中がトイレに行ったら、「じゃあ俺も行こうかな」ってなるんですよ。そうすればダウンタウンさんの2人っきりの空間が作れるぞって、そういう意識がどっかで働いてるのかもしれないですね。お2人自身は恥ずかしくてイヤなんやろなぁ、と思いつつ(笑)。
――では、これまでの「笑ってはいけない」シリーズ全体を通して、特に覚えてる仕掛けやシーンは?
これも「ホテルマン」のときでしたけど、森昌子さんが登場されたときは驚きましたね。バスで移動中、後ろの席から歌いながらご本人登場、っていう。デビュー当時の髪形のカツラをかぶって、真っ赤なスカートでね。森さんとお会いするのはあのときが初めてで、すごくうれしかったんですけど、まさか初対面がこんな形になるとは、っていう(笑)。あとはやっぱり、“新おにぃ”ですかね。
――方正さんも「番組が生み出したスター」と絶賛されてました。
桑田佳祐さんのモノマネとか、アントニオ猪木さんのモノマネとか、僕らにはない全く違う引き出しを開けてくるんですよ、あの人。森進一さんのモノマネで「おふくろさん」のところを「おかあさ~ん」とか(笑)。あんなん、もう笑うしかないでしょ。
――笑うしかないといえば、遠藤さんは、ジミー大西さんのネタにも毎回どハマりしてますよね。
ええ、まさにどハマりですね。ジミーさんがモニターに映ってるだけで笑いそうになるんですよね。半笑いの状態から始まるっていうか。毎回、難しい言葉の意味とかを答えさせられたりしてますけど、何ていうか、頭脳が突き抜けてるんですよ(笑)。
――「笑ってはいけない」という企画は、シリーズ当初は、対決に負けたチームが科せられる罰ゲーム企画だったんですよね。’04年の「笑ってはいけない温泉宿一泊二日の旅in湯河原」では、遠藤さんは仕掛人、“笑わせる側”で参加されていました。
ああ、そうでしたね。ダイナマイト四国のときかな?
――はい。遠藤さん扮(ふん)するダイナマイト四国が、オープニングからいきなり登場してました(笑)。
そうそう、ヘビー級タイトルマッチに挑戦するために湯河原に来ている、とかいう設定でね(笑)。ファンのちびっ子たちと一緒に「1、2、3、四ッ国! 四ッ国!」ってやったら、意外にも田中が一番ツボにハマったっていうね(笑)。
――ウケてるなという手応えはありました?
いやいや、全く。これは「笑ってはいけない」に限らずですけど、「ガキ」の収録中は、「ウケてるな」とか、そういうことを感じてる余裕は一切なくて。なんか独特の緊張感があるんですよ、「ガキ」の収録って。僕らがレギュラーで出させていただくようになってから20年くらいたちますけど、いまだに「ガキ」の収録の前日は気持ちがざわざわするんです。もちろん、いい意味での緊張感なんですけど。
――そして今年の大みそかには「絶対に笑ってはいけない科学博士24時!!」の放送が決定しました。まもなく収録されるそうですが、どんな内容になると予想しますか?
想像もつきませんねぇ。僕個人でいえば、今回もいろいろイジられるとは思うんですけど。いや、ほんまに「笑ってはいけない」では、自分のプライベートな部分を全国の皆さんにご覧いただいてきましたからね。最初の頃に、当時の結婚相手が出てきて、離婚してからも何度も出てきて(笑)。で、気付いたら親兄弟まで出てきてね。言うたら、僕の人生そのものを見せてきたようなもんですから。
もう十分やりきったんで、いいかげん家族を巻き込むのは勘弁してほしいなっていうのは正直あるんですけど。あとスタッフの皆さんに言いたいのは、そろそろ僕のプライベートのネタは、ゆる~く笑えるくらいの感じにしてもらえませんか、と。あんまりイジられると、収録の余韻を味わう余裕もないんで…。
いや、毎年思うんですけどね、僕はこの企画の収録の余韻をもっと楽しみたいわけですよ。尊敬する先輩や優秀なスタッフと一緒に番組を作ってる幸せをかみしめたい。収録が済んだら、みんなでしみじみ振り返る時間があってもいいのになって思うんです。
――実際、「笑ってはいけない」の収録が終わったときは、どんな雰囲気なんでしょうか。
松本さんも浜田さんも、パパッと着替えて車に乗って即座に帰られますね(笑)。収録中「しんどい、しんどい」言うてても、早く着替える体力は残ってるみたいです。
――(笑)。ではあらためて、遠藤さんが考える「笑ってはいけない」シリーズの魅力とは?
「NHK紅白歌合戦」という、その1年を代表する歌手の皆さんが一堂に集まって歌っている裏で、笑ったらお仕置きを受けるっていうだけの企画が続いてるのは奇跡やと思うんですよ。いやもちろん、芸能界でずっとトップに立ってらっしゃるダウンタウンさんが体を張ってる姿が見られるのは貴重やと思いますし、いろんなジャンルの大物の方々が出てくださるという意味では、十分豪華な番組ではあるんですけど。
――また番組DVDが大ヒットしているというのも稀有(けう)な例だと思います。
そうですねぇ。DVDは僕も持っていて、たまに見返す程度なんですけど、何十年後かに僕が死んだときは、棺桶に「笑ってはいけない」のDVDを入れてほしいですね。やっぱり、遠藤章造の人生の全てが詰まってる番組ですから。これさえ見れば、僕のいいところも、あかんところも、できれば隠したかったことも、全部丸分かりなんで(笑)。