ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第115回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演女優賞 受賞インタビュー

撮影=阿部岳人

夏帆

升野さん(バカリズム)の作品はいつも“ご褒美仕事”だと思っています

「ブラッシュアップライフ」で助演女優賞を獲得しました。受賞の感想を教えてください。

ありがとうございます。受賞の知らせを聞いたときは「本当に私でいいんですか」と思いました。主演の安藤サクラさんをはじめ、共演の木南晴夏さん、水川あさみさんと役柄のままに仲良くさせていただきながら、みんなで作り上げたドラマだったので、もし「ブラッシュアップライフ一同」という投票ができたなら、みんなで受賞できたのではと…。私が代表というのはおこがましいですが、そんな気持ちで受け取らせていただきます。

第114回の「silent」(フジテレビ系)に続いての受賞。2期連続助演女優賞受賞というのは、ドラマアカデミー賞の歴史でも広末涼子さん(第26回、27回)以来です。

皆さんの反応が大きいドラマに続けて出演できたことは、とても幸運でした。実は「silent」の最後の方はちょっとだけ「ブラッシュアップライフ」の撮影と重なっていたんです。役柄は全く違うので、それを2作連続でできたということで、自分自身のの幅も広がった気がしますし、本当に濃い2クールでしたね。


“なっち”こと夏希役の演技に、投票した人からは「『silent』の手話を使っての熱演からの振り幅がすごい」「一般人感あふれるナチュラルな演技が最高だった」「“なっち”のすっとぼけ感が良かった」という意見が寄せられました。

序盤は際立ったキャラクターではなく、“あーちん”こと麻美(安藤サクラ)、“みーぽん”こと美穂(木南晴夏)、“なっち”の誰がどのセリフ言っても成立するというか、3人が一心同体という感じでしたが、回を重ねていくうちにそれぞれの個性が出てきました。“なっち”は、ちょっと空気読めない人で少し抜けているみたいな…(笑)。職業などについてもいろいろ裏設定はあるんですけど、「こういう役柄だからこういう役作りをしました」ということはなく、自然とキャラクターが出来上がっていきました。やはりバカリズムさんの脚本だからですね。


バカリズムさんとは「架空OL日記」(2017年日本テレビ系)でも組みましたね。夏帆さんにとってバカリズムさんはどんな方ですか?

そうですね。升野さん(バカリズム)の作品はいつも楽しいので、“ご褒美仕事”だと思っています。今回も現場はただただ楽しくて、これで仕事って言っていいのかなというぐらい。升野さんの書くセリフは、普通に言っただけでも面白くなるし、自然に見えるんですよね。「架空OL日記」のときは銀行勤めのOL5人組でその中に升野さんもいたのですが、何の違和感もなくなじんでいました。よく「なぜ女子トークをこんなにリアルに描けるのか」と質問されていますが、おそらく女性とか男性とかに関係なく、自分が感じていることを書いているのでは…。でも、いつも人間観察眼はさすがだと思いますね。


バカリズムさんは脚本賞を受賞しました。“なっち”たちが仲良し3人組だと思っていたら、麻美が人生を何周もするうちにもともとは4人組だったと判明する。そんなストーリー構成が見事でしたね。

そうですよね。第1話のファーストシーンに鳩が4羽出てきて、それが4人組の…というのは聞いていたんですが、謎の女として出てきた真里ちゃん(水川あさみ)がその一員だったと分かったときは、思わずゾクッとしました。そういう展開の面白さと日常生活での他愛もない会話のバランスが素晴らしい。描かれているのは女の友情ですけど、恋愛やキャリアの話があまり出てこないのも新鮮でした。3人、そして4人の他愛もない話の積み重ねだからこそ、それが失われた時の切なさが込み上げてきますし、なにより登場人物全員のことがいとおしくなりますよね。


主演女優賞を受賞した安藤サクラさんとの共演はいかがでしたか。

これまでプライベートではお会いしたことがあったんですが、撮影現場で初めてご一緒してみると、自由で柔軟に楽しみながらお芝居をされているのが印象的でした。今回とてもいい空気感で撮影できたのは、サクラさんが中心にいたからこそだと思います。先陣切っておもしろいアイデアをたくさん出しながら、周りを巻き込み盛り上げてくださるサクラさんは、とても頼もしい座長でした。


夏帆さんのお気に入りのシーンはどこですか?

第5話、テレビ局のAPになった“あーちん”の部屋を“みーぽん”と訪ね、3人でお菓子を食べながらダラダラしているシーンは大好きでした。みんなでワイワイとカラオケするシーンも楽しかったし、あげたらキリがないですね。私は出ていませんが、特に印象的だった場面は第8話。3人のお葬式があった後、“あーちん”が福ちゃん(染谷将太)たちとカラオケに行く。その様子がすごくリアルで、“あーちん”は泣きわめいているわけじゃないけれど喪失感が伝わってきて、すごいシーンだなと思いました。


今回、「ブラッシュアップライフ」で達成したことは何でしょうか?

私は撮影が始まると芝居が気になって頭が固くなっちゃうこともあるんですけど、サクラさんや木南さん、水川さんの姿を見て、「あんなふうに柔らかい気持ちで撮影に入れたらいいな」とすごく思いました。もっと楽しむという気持ちで現場に行ってもいいんだと…。そんなふうに現場での意識が変わりました。何よりたくさんの人にこのドラマを楽しんでもらえたことがうれしかったですね。
(取材・文=小田慶子)
ブラッシュアップライフ

ブラッシュアップライフ

安藤サクラが主演を務め、バカリズムが脚本を手掛けるタイムリープヒューマンコメディー。市役所で働く実家住まいの独身女性・近藤麻美(安藤)が、ある日突然、人生をゼロからやり直すことになる。気が付くと産婦人科のベッドの上にいて、目の前には若き日の父と母の姿があった。麻美の2周目の人生が始まる。

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