ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第117回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞 受賞インタビュー

(C)日テレ

松岡茉優

答えのない問題を全員で考え続けた3カ月間でした

受賞のご感想を聞かせていただけますでしょうか。

この度は主演女優賞をいただき心よりありがとうございます。

受賞の一報を聞いた時、尊敬するスタッフの皆さま、キャストの皆さま、そして愛する生徒さんたちの顔が浮かびました。
答えのない問題を全員で考え続けた3カ月間を、このような形でお祝いしていただき、ありがたいです。テーマは重たいながらも、たくさんの感想や激励を頂いたドラマでもありました。視聴者の皆さまにとって、もしも、何か希望の光が一筋差す時間であったなら、これほどうれしいことはありません。

受賞を誰よりも喜んでくれるであろうと思うのは、福井雄太プロデューサーと、鈴木勇馬監督です。この作品のテーマを両手に抱えきれないほど背負い、私たちを導いてくれました。誰の、どんなシーンであっても、俳優がお芝居しやすい環境を作り続けようと、いついかなる時も尽力してくださいました。

福井雄太プロデューサーとは、実は10年前に「斉藤さん2」(2013年日本テレビ系)にて、ご一緒したことがあり、その時は私が生徒役だったのです。その時も、多感な10代の私と寄り添い、駆け抜けてくださいました。あれから10年、私を先生役として迎えてくれたこと、信頼してくださったことがうれしく、その期待に応えたいというのは、私の今作のテーマの一つでした。皆さまに頂いたこの賞のことを、早くお伝えしたいです。


九条里奈先生を演じるにあたり、意識されていたことを教えてください。

生徒たちにうそなく、全力で向き合う教師、というのが、九条先生を演じるにあたりとても大切なポイントであったのは確かなのですが、演じ手として大切にしていたのは、松下洸平さんが演じる蓮さんや、森田望智さんや、ラランドのサーヤさんが演じる親友たちとのシーンでした。第1話の脚本でそのパートが初めて出てきた時、やりがいを感じて。生徒の前と、いわばオフの姿に程良くギャップがあることで、私自身が九条先生を人として愛することができました。


毎週、緊迫感のあるシーンがめじろ押しでしたが、九条先生のセリフでグッときたものなど、脚本について感じていたことを教えてください。

難しいテーマが続く物語でしたが、私や生徒さんたちが演じにくくないように、福井さんや鈴木さんをはじめスタッフの皆さまが、私たちの気持ちを吸い上げる時間を積極的に作ってくれていました。

脚本が上がったタイミングで、ここはどういうふうに演じたらいいかなどを詳しくお話させていただいていたので、安心して撮影に挑んでいました。例えば、「このセリフを言うのはためらいがあるのですが、どうしたら?」という問いに対して、「こういう思いなら言えますか?」と監督が導いてくれたり、「こういうふうに言葉を変えましょうか?」と脚本家さんが提案をしてくださったり。それは私だけでなく、俳優部全員にしてくださっていたことでした。どんなささいな思いも取りこぼさずに進んでくださったこと、心から感謝しています。


投票理由として、「教室の中の人間関係のエグさが容赦なく描かれていて刺さった。まさに演技合戦という感じで楽しめた」「生徒たちとのやり取りに毎回泣かされた」などの声が届きました。生徒の方々とのシーンで印象的だったことを教えてください。

鵜久森叶役を芦田愛菜さんが演じていなかったら。このドラマは全く違う着地点にたどり着いていただろうと確信します。第1話のクライマックスシーンは、丸1日かけて撮影していったのですが芦田さんは常に全力で、人の限界を超えたお芝居をされていました。

生徒さんの中にはお芝居が初めての方や、連続ドラマが初めての方など、キャリアはさまざまで、クラスのみんながどういう人なのか、まだそれぞれが探っている段階でそのシーンの撮影があったので、衝撃だったと思います。芦田さんのその姿を見た生徒さんたちが、その先の話において、自身の全力を超えていく姿は、皆さまにも見守っていただけたかと思います。私はその美しく鮮烈なリレーを間近で体感していて、俳優としても、人間としても、幸せで、身の引き締まる思いでした。

いつかまたみんなと再会した時に、また全力でぶつかり合いたいです。


夫・九条蓮はまさに理想の夫であり、シリアスなドラマの中で数少ない癒やしのシーンだったかと思います。松下洸平さんとのエピソードも教えてください。

松下洸平さんとは今回初めての共演だったのですが、九条先生が蓮さんに支えられていたから頑張れていたように、私も松下さんに支えていただいて、完走できました。常に安心感があったので、台本にない動きやしぐさなどが自然と足されていって、好きと言っていただくことが多い九条家のシーンが出来上がったと思います。


最後に「最高の教師―」ファンへメッセージをお願いいたします。

改めまして、この度は、素晴らしい賞を頂きありがとうございます。

投票してくださった方々、そしてこのドラマを見守ってくださった皆さま、心からありがとうございました。難しいテーマを、並走して受け取ってくださる皆様がいたから、このドラマは完走できました。本当にありがとうございます。
そして、私の大切な生徒さんたちは、これからいろいろな翼で羽ばたいていくことと思います。ゆくところ全てで、みんなが愛されることを祈っています。これからも3年D組のみんなを、応援していてくださったらうれしいです。よろしくお願いします。
最高の教師 1年後、私は生徒に■された

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「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(2019年)を手掛けたプロデューサーと監督による“新時代”の学園ドラマ。卒業式の日、教師の九条(松岡茉優)は4階から突き落とされるが、「死にたくない!」と願った直後、1年前の始業式の日の教室に戻ってくる。九条は、真相を突き止めるために、生徒と本気で向き合っていく。

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