ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第119回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演女優賞 受賞インタビュー

河合優実

以前から「昭和顔」だと、よく言われていました(笑)

「不適切にもほどがある!」(TBS系)で主人公・市郎(阿部サダヲ)の娘で高校生の純子を演じ、助演女優賞を初めて受賞しました。

ありがとうございます。こんな賞を頂けるなんて全く予想していなかったので、すごくうれしいです。同時に作品賞など他の部門もたくさん受賞した(6部門受賞)と聞き、「不適切にもほどがある!」が改めてたくさんの人に注目していただいて、ちゃんと記憶に残るものになったんだなと、実感できました。

純子は昭和61(1986)年の高校生、いわゆる“スケバン”で、「クソじじい」とか「おまえだよハゲ」などと言う。投票した人からは、父親に反抗的な役柄がハマっていたという意見が寄せられました。平成生まれの河合さんにとっては、挑戦だったのでは?

そうですね。やっぱり現代の女の子を演じることとは全然違ったので、その心構えは必要でした。髪型や衣装などビジュアルだけが完成されたものになっても、中身がなりきれていないとズレが生じると思ったので、ちゃんと1986年に生きている子に見えるように演じました。自分の親やスタッフさんに当時の話を聞かせてもらい、資料として頂いた「毎度おさわがせします」(1985~1987年TBS系)などを参考にしました。


中山美穂さん主演の「毎度おさわがせします」はまさにその時代の作品ですね。

中山美穂さんもそうですが、純子は中山さんの役より言葉遣いが乱暴なので、ダンプ松本さんが演じた役も参考にしました。当時の女子高校生はこういうしゃべり方をするんだとか、体の動き方や声の出し方、空気感を……。女子高校生と大人でも違う感じがしたので、他にも1980年代の映像をいろいろ見ました。


ロングスカートのセーラー服など、昭和のファッションを着て当時流行のメークをした河合さんがアイドルのようにかわいい!と評判になりましたが、もともと昭和っぽいと言われたことは?

この業界に入ってから「昭和顔だね」ということは、もう何度も言われてきました。だから、その点は大丈夫かなと(笑)。衣装合わせで制服などを着たときも、しっくり来て、不安にはならなかったです。ただ、コスプレっぽくならないようにということは、衣装さん、ヘアメークさんに調整してもらって、気をつけるようにしていました。


河合さんは学生時代からダンスが得意だったということですが、第5話、純子が当時の女子大生になってディスコで踊るシーンはいかがでしたか。

パラパラは踊ったことがありませんでした。恋人のゆずる(錦戸亮)が黒服としてランクアップするのに合わせ、純子も派手になっていく。バブルの時代ですし、純子の人生、最高潮に楽しいときですよね。だから、振り付けをしてもらいつつも、踊りはある程度、自由に楽しくやってもいいのかなと思っていました。


錦戸さんが、純子との結婚の許しをもらうために踊る“覇者ダンス”も話題になりましたが、現場で見ていていかがでしたか。

面白過ぎて、本番中は吹き出さずにいられましたが、テストの段階では笑うのを必死に我慢していました。錦戸さんとは「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(2023年NHK BSプレミアムほか)でも共演し、そのときは言えなかったけれど、錦戸さんが主演した「ごめんね青春!」(2014年TBS系)は私が中学生の頃に見ていた大好きな作品なんです。今回は、同じ宮藤官九郎さんの脚本で、同じ制作チームということもあって、そう伝えたら、「早くそう言ってくれれば良かったのに」と言われました。


宮藤官九郎さんのドラマは、以前から好きだったんですね。 

そうですね。「ごめんね青春!」で知って、宮藤さん作の舞台も見に行くようになりました。宮藤さんの脚本の魅力は、まず、ずっと笑わせてもらえるところ。でも、笑い過ぎていたら次のセリフを聞き逃しちゃうから、笑い声を我慢するというぐらい本当に楽しい。そういう感覚で夢中になって見ていると、気づいたら感動して、すごく心が持っていかれる。そういう作品をずっと書いてこられたと思います。


「不適切にもほどがある!」もまさに笑って泣ける作品でした。

そうですね。宮藤さんの作品からは「大きな愛があれば大丈夫だよね」というメッセージを感じます。セリフではあまり「愛してる」という言葉は出てこないけれど、「不適切―」の最終回ではミュージカルの歌が「寛容になりましょう!」で、「愛には負けるけど、寛容も大切」という歌詞があったので、やっぱり「愛が一番」が前提にあるのかなと想像しました。


物語の展開としては純子が震災で……という悲劇性があるわけですが、結末はどう受け止めましたか。

後半、台本は1話ずつ頂いたので、私も「この先どうなるんだろう?」と想像しながら読んでいました。タイムスリップものだから、どうにでも展開できるわけですが、最終回で、やっぱり自分のいる時代を一生懸命生きるしかないんだなと思いました。ラストシーンで、タイムマシンの開発者である井上教授がおじいちゃんになって現われ、市郎に「好きな時代に行きましょう」と言うけれど、そこで市郎は「いやいやいやいや」と決断を保留する。どの時代にでも行けるなら、純子を助けられるかもしれないけれど、それはしないわけですよね。その方が「今を大事にしよう」と思えるし、すごく好きな終わり方でした。


河合さんのキャリアにとってこの作品に出たことはどんな意味がありましたか?

とても大きな経験になりました。この役でたくさんの人に私のことを知ってもらえたことは、本当にありがたいです。何より、ずっと好きだった宮藤さんの世界観の中に入り、阿部サダヲさんの背中を見ながら、純子という一人の人間が成立する芝居を目指したので、本当に勉強になりました。


河合さんの出演作の中で、ここまでの喜劇、コメディーというのも初めてだったのでは?

松尾スズキさんの舞台ではありましたけれど、ドラマでは初めてです。松尾さんや宮藤さんの舞台を観客として見ていても、笑わせるということはすごく難しくて、演技に含まれるさまざまな要素の中でも、特別な技術だなと…。人の心を動かすという意味では同じだけど、タイミングなどいろんな条件がそろわないと、笑ってもらえない。難しいなと思うけれど、でも、笑いが好きなんですよね。今回、阿部サダヲさんを始め、共演者の皆さんが人を笑わせるということを心から楽しんでやってらっしゃるのを目の当たりにしたので、私もまた挑戦してみたいです。

取材・文=小田慶子/撮影=阿部岳人/スタイリスト=Shohei Kashima(W)/ヘア&メイク=上川タカエ(mod's hair)/衣装=ロングコート¥140,800:FETICO(THE WALL SHOWROOM)、チョーカー¥30,800:±BALANCE(THE WALL SHOWROOM) 読者問い合わせ先:THE WALL SHOWROOM(TEL:050-3802-5577)
不適切にもほどがある!

不適切にもほどがある!

阿部サダヲ主演の“意識低い系タイムスリップコメディー”。ひょんなことから1986年から2024年の現代へタイムスリップしてしまった“昭和のおじさん”小川市郎(阿部)が令和では考えられない不適切な言動を繰り返していく。共演は仲里依紗、磯村勇斗、吉田羊ら、脚本は宮藤官九郎が手掛ける。

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