ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第92回ザテレビジョンドラマアカデミー賞ザテレビジョン賞 受賞インタビュー

撮影=源賀津己

名俳優たちのギャップ萌え

〝男子中学生の部室〟のような雰囲気がにじむドラマにしたいという思いもありました(濱谷晃一P)

このドラマの構想自体は10年以上前からあったそうですね
そうですね。ただ、その構想にはもともとテレビ東京は関わってなくて(笑)。そもそも、'02年に「週刊朝日」で6人が特集されたときに、皆さんの間で「このメンバーで映画をやりたいね」という話になったらしいんですけど、'15年にまた「シネマトゥデイ」で6人が特集されたのをきっかけに、その気持ちが再燃されたみたいで。そこから大杉漣さんを中心に実現へ向けて動いていたそうです。紆余曲折を経て、その思いを知った制作会社のドリマックスさんが、この6人ならテレビ東京がいいんじゃないか?と企画を持ち込んでくださった、というのが経緯なんです。
濱谷さんが最初にその企画をお聞きになったときは、どう思われました?
「絶対面白いものになる!!」と素直に思いました。と同時に、「こんな企画を自分で思い付きたかった!」と嫉妬しましたね(笑)。自分も、滝藤賢一さんの「俺のダンディズム」('14年)だったり、手塚とおるさんの「太鼓持ちの達人(~正しい××のほめ方~)」('15年)だったり、脇役の方を主役に立てる手法でドラマを作ってきていたので。普通に考えたら、各所から引っ張りだこの多忙な6人がいっぺんにそろうわけないだろって思うじゃないですか。
でも、キャストの皆さんご自身に、この座組でやりたいという思いがあったので、成立したのだと思います。通常は脚本が上がって、それを読んでから出演する・しないを判断するケースが多いんですが、今回は詳細が決まっていなくても、この企画ならということでスケジュールを空けておいていただけたので、そこは助かりましたね。スケジュール調整は1年がかりでしたけど。
バイプレイヤー6人だけでなく、ゲスト俳優の顔触れも、第1話の役所広司さんから最終話の天海祐希さんまで、非常に豪華でした。ゲストのキャスティングも苦労されたのでは?
本当にテレ東のドラマ?と疑うほど豪華なゲスト陣ですよね(笑)。そもそもこの作品自体、バイプレイヤーの方々が主役で、普段主演を務めることの多い方々がゲストで出演する、という逆転の構図になっていましたね。役所さんや天海さんも他では絶対やらないような役どころを面白がって演じてくださいました。やっぱり「あの6人の作品なら」という、役者さん同士の絆を強く感じましたね。それにしても、「バイプレイヤーズ―」というタイトルが秀逸だったなと。テレビ東京自体、テレビ界のバイプレイヤーみたいな存在なので、親和性もありましたし(笑)。
皆さん、実名の本人役という設定は当初から?
他にも案はあったんですが、本人設定でバイプレイヤー6人の生き様を描くというのがやはり一番面白いだろうなと。業界裏話っぽいエピソードが出てくるのも、話題になった一因だと思います。遠藤さんと松重さんの共演NGとか、光石さんの不倫スキャンダルだとか、実際にはそんなこと絶対ない6人だからこそ、本人役で演じることができたエピソードですよね(笑)。
そんなこわもての俳優さんたちのかわいらしさやコミカルさといったギャップが出ていたのも、人気の大きな要因だと思います
裏テーマとして、漫画の「(行け!)稲中卓球部」みたいな男子中学生の部室のような雰囲気がにじむドラマにしたいという思いもあって(笑)。男の子たちが集まったときのバカバカしさや愛らしさがあの6人から出せるといいなと思ったんですよね。その点では、あの6人は撮影後、毎晩飲みに行くほど実生活でも仲がいいし、それが画面を通じて伝わったんじゃないかなと思います。SNSを見ていても、歳を重ねた男性同士の仲むつまじい姿が、女性の方々にも好感を覚えていただけたようで。本来、「ドラマ24」は男性視聴者が多い枠なんですけど、今回は女性視聴者からの「あの6人に萌える!」みたいな声も多くて、今までとは違った層にも刺さった気がします。
ドラマ本編はもちろん、オープニングやエンディング、また「バイプレトーク」(キャスト陣の裏話トーク)も話題になりました
コワモテ俳優の印象の強い6人ですが、このドラマは真逆のほのぼのとしたキャラクターがフィーチャーされていました。その分、オープニングの映像はカッコよさにこだわろうということで、「レザボア・ドッグス」('92年)みたいな、黒のスーツでびしっと演じていただいて。エンディング曲は、竹原ピストルさんにお願いしたところ、「このドラマのテーマ曲を歌いたい!」とおっしゃっていただけて、うれしかったですね。「Forever Young」という歌詞がまさにこの6人にピッタリで、タイトルバック映像も6人がいるところで竹原さんに歌っていただきました。「バイプレトーク」はキャストの皆さんからの提案で生まれた企画です。本人役でありながらフィクションというドラマの性質上、素で話すトーク部分も見せたほうが逆に演技に入り込める、という意見と、毎晩の飲み会が面白いからそれも放送してほしい、という希望で(笑)。そんな風に今回は、スタッフとキャストの間でキャッチボールをしながら形にできたのが楽しかったし、刺激になりました。おかげさまで独特な作品に仕上がったと思いますね。
あの6人でアニメ「おそ松さん」の実写化が決定!という、公式サイトでのエイプリルフール企画も話題となりました
企画上は、「おそ松さん」の6つ子が僕に申し出てきた、という設定なんですけどね(笑)。男子6人が同じ家に住んでいるという共通点もあって、「おそ松さん」サイドにお話を持っていったんですけど、先方も、このドラマと何か一緒にやりたいと、まさにコラボを提案しようとしていたそうで。とんとん拍子で話が進みました。事後にニュースサイトで見たのですが、エイプリルフールの取り組みとして、そうそうたる企業に並んでベスト5の評価を頂いてました。テレ東の深夜ドラマは雀の涙ほどの宣伝費しかないので、おそ松さんのおかげで大々的な宣伝展開ができました。6つ子には足を向けて寝られません(笑)。
最後に、ドラマを見てくださった皆さんや投票してくださった皆さんへ、メッセージをお願いします
視聴率的にはゴールデンタイムのドラマの数分の1くらいだと思うんですが、業界視聴率はナンバー1だと皆さんによく言われました(笑)。何よりも見てくださった方が、「面白かったね!」と人に話したくなるような、〝熱〟のあるドラマを送り出せた手ごたえがありました。〝視聴熱〟ってやつですね! このような賞をいただけたことは本当に光栄です。ありがとうございました!
バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜

バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜

“日本映画界を支える俳優6人”に選出されたことのある遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研の6人が本人役で主演。海外の動画配信サイトから大型ドラマのオファーを受けた名脇役たちは、大物監督からの要望で、シェアハウスで3カ月間暮らすことになり、戸惑いながらも、共同生活を送る。

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