「MIU404」新井順子P、綾野剛&星野源への『ありがとう』<ドラマアカデミー賞・インタビュー後編>
「楽しくなり、かつ切なくもなる曲を」とリクエスト
――ドラマソング賞は米津玄師さんによる主題歌「感電」です。
米津さんは想像を超えるものを作ってくれました。最初に「劇中で流れたときに楽しくなり、かつ切なくもなる曲を」と無茶なお願いし、そのリクエストに完璧に応えていただきました。
ジャズのように軽やかな曲でありながら、第2話の結末でかかったときは「泣ける!」と思ったので…。歌詞もまるで先々の台本を読んでいるかのような言葉が並んでいました。月並みな表現ですが、やはり天才ですね。対談企画で会ったときには「めっちゃ面白いですね」と言ってくださって、うれしかったです。
――最終回で印象的だったのは、ラストシーンで伊吹と志摩がマスクをしていたことです。単発ドラマではいつくか“ウィズコロナ”を描いたものがありましたが、連続ドラマでは初めてでした。
2019年の時間軸から描いてきたので、最終回で「2020年を描くならマスクをしないとリアリティーがない」という話になり、自然な流れでマスクを着けることになりました。もちろん、最初はオリンピック直前で終わるつもりだったので、当初から変更にはなりましたが、ウィズコロナの描写を避けようとは思わなかったです。撮影しながらストーリーの方向転換ができるのは、連続ドラマの良いところですね。
――やはり今回、オリジナルドラマということで自由度は高かったのでしょうか。
原作付きも面白いものですが、オリジナルは一から作れるので、大変ですけどやりがいはあります。終盤の展開はかなり自由にやれました。私としては警察ドラマを作るという念願がかないましたし、その作品がこうして評価されるのもうれしいです。それもすべてスタッフとキャストのみなさんが力を合わせてくれ、無事に最終回を迎えられたから。
綾野さんも言っていましたが、最後まで放送できたのは奇跡。そして、物語としても、偶然、結末を2020年に設定していたので、大変な状況だけれど「ゼロからやっていこう」という終わり方に着地できました。
(取材・文=小田慶子)