監督賞は「半沢直樹」半沢・大和田の共闘は『以前から、チャンスがあればと』<ドラマアカデミー賞・インタビュー前編>
「第105回ザテレビジョン ドラマアカデミー賞」で監督賞を獲得したのは「半沢直樹」(TBS系)の福澤克雄(第1~4話、第9、10話演出)、田中健太(第5話、第7話)、松木彩(第6話、第8話)の3氏。大ヒットした前作の7年ぶりの続編であり、今回も最終回の視聴率は32.7%を記録。今期ドラマで最大のヒットになった同作をどのように作り上げたのか。3人の鼎談を前後編で送る。前編は原作小説からアレンジを加えた裏側や、コロナ禍での撮影などについて聞いた。
コロナ禍で撮影許可取りが難航…理由は「半沢だから」!?
――注目度の高かった今回の続編を成功させ、このたび監督賞に選ばれた感想を聞かせてください。
福澤:7年前のシーズン1は、放送が始まる前、ヒットしないと言われていました。そんな中、とにかくこの日曜劇場という枠で働く男性を描きたいと思ってドラマを作った。それで最高視聴率42.2%とか取っちゃって、だから、今回の続編はプレッシャーが大きかったわけですよ。
数字はほしいけれど、あの視聴率をもう一度、取るなんてできっこないから、「とにかくよいものを作りましょう」と言ってクランクインした。その結果、これだけの人に見ていただけたのが、本当によかったなとうれしく思っております。
田中:受賞できてうれしいです。前作は私の演出デビュー作で1話だけ監督しました。半沢役の堺雅人さんと大和田さんの香川照之さんは、今回さらにパワーアップしていましたね。堺さんは前作から常に中心に立ってくださって、本当に頼もしかったです。
松木:私は今回が初参加です。前作はちょうど私がドラマ制作部に異動してきたときに撮影していました。この「半沢直樹」チームに入って、すごく光栄でした。本当に1日24時間、半沢のことを考えているジャイさん(福澤監督の愛称)と役者さんの熱量に引っ張ってもらいました。
――4月放送開始のはずが、新型コロナウィルス感染拡大の影響でスタートが遅れ、撮影の中断期間もありましたが、特に苦労されたのはどんなところですか。
福澤:とにかく大変でしたよ。現場は大騒ぎ。最初は「半沢直樹」と言えば、ロケ地はどこでも貸してくれたけれど、緊急事態宣言後は逆に半沢だからNGに。注目されているドラマなので、もし感染者が出たら大変だし、キャスト、スタッフの人数も多いしということで…。会社自体がテレワークになっている中、僕らだけそのオフィスを借りて撮影するわけにもいかないですから。
それで緊急事態宣言が解除され撮影再開した後、また撮影がストップしてしまい、2週間ほど、まったく何もできない状態になりました。
田中:撮影中断は大変でしたが、その間に台本をより練れたということでは、助かった面もあったのかなと思います。
――現場での感染予防も大変でしたか?
福澤:会社でのシーンはもっと大人数でワイワイやりたかったけれど、それもできませんでした。ただ、半沢と大和田など、数人で接近戦をする場面だけは、感染対策の専門家にアドバイスを受けながら慎重に撮影しました。撮影して20分経つといったんカメラを止めて換気をする。その方式で、いろんなロケ地に行っては換気しながら少しずつ収録したので、通常の1.5倍ぐらいかな。かなりの時間がかかりました。
松木:私より現場のADが大変で、そうやって窓を開け換気をしたり、エキストラさんにマスクしてもらったりして、対策を徹底してくれました。