「半沢直樹」福澤監督 怒濤の演技合戦は『堺さんがぶれないからこそ』<ドラマアカデミー賞・インタビュー後編>
「第105回ザテレビジョン ドラマアカデミー賞」では、「半沢直樹」(TBS系)の福澤克雄氏、田中健太氏、松木彩氏が監督賞を受賞。3氏へのインタビュー後編では、同じく第105回ドラマアカデミー賞で主演男優賞を獲得した堺雅人をはじめ作品を彩ったキャストたちの印象や、前作に続き大ヒットとなった今作への視聴者からの反応について聞いた。
【監督賞は「半沢直樹」半沢・大和田の共闘は『以前から、チャンスがあればと』<ドラマアカデミー賞・インタビュー前編>から続く】
怒濤の演技合戦…きっかけは「今のドラマはおとなしすぎるのでは」
――主演男優賞を獲得した堺雅人さんの演技はいかがでしたか?
福澤:堺さんは最初から最後まで筋が通っていました。このドラマは堺さんがぶれないからこそ、周囲のキャストがいろんなことをやっても成立する。これが半沢までいろいろやりだしたらぐちゃぐちゃなドラマになるので、堺さんはそれを分かってどんと構えてくれたと思います。
――歌舞伎役者と小劇場のスターが集まり、演技合戦を繰り広げる様が圧巻でした。
福澤:歌舞伎、歌舞伎と言われますが、役者の皆さんはあくまで映像向けの芝居をしている。例えば、昭和の黄金期の映画を見ると、昔の役者さんたちはかなり思い切った芝居をやっていましたからね。それに比べて、今のドラマはおとなしすぎるのではないか。シーズン1のときは批判覚悟でそういう芝居をやってもらったけれど、受け入れられたので、今回も芝居を見せようと思いました。
松木:とにかくキャストの皆さんの力は圧倒的でした。役者さんからいろんな提案を受けながら作っていくのが今思えばとても楽しかったです。そのときはただ必死なんですけど。
――今回の新キャストで印象的だった人はどなたですか?
福澤:伊佐山役の市川猿之助さんはかなり気合いが入っていましたね。香川さんからアドバイスをもらって憎たらしい悪役を演じてくれました。また、「この人はすげえなぁ」と思ったのは箕部役の柄本明さん。強烈で恐ろしかったね。とにかく悪役に名優と呼ばれている人を呼ぶのがこのシリーズなので、そのコンセプトは貫きました。
前半の証券編から出てくださった森山役の賀来賢人さん、瀬奈役の尾上松也さんも「半沢直樹」に新しい風を吹かせてくれたね。証券編では社長夫人役の南野陽子さんもよかった。新しいキャストの方々は、やはり撮影に入って波に乗るまでが大変だけれど、結果的に全員が印象的な芝居をしてくれました。演出としてもあまり苦労はなかったですね。