写真のキャラクター、誰だか分かるだろうか? 80年代、「週刊少年ジャンプ」に夢中になった男子なら即答間違いなしだろう。「キン肉マン」の人気超人・ロビンマスク(イギリス出身、超人強度96万パワー、必殺技はタワーブリッジ、愛読書は「源氏物語」)だ。
残念ながらもちろん、写真はロビンマスク本人ではない。中の方は“ミスター・ゴージャス”の名前で活動するコスプレイヤーさん。流行りの人気アニメキャラが集結する場になぜロビンマスクで現れたのか。答えは単純明快、ビビッと痺れさせてくれるものだった。
ロビンマスクの鎧、製作費は10万円以上の特注品
「キン肉マン」はジャンプ連載時からのファンだというミスター・ゴージャスさん(以下ゴージャス)が現れたのは、12月、池袋サンシャインシティで開催されたコスプレイベント「acosta!(アコスタ)」の場。見渡せば「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」「Fate」シリーズなどが大人気で、ロビンマスクは間違いなく浮いている。
「いいんですよ。好きなキャラをやるのがコスプレです。今日はバラクーダも撮ろうと思って来たんです」
衣装の中には金髪ウィッグと鞭のバラクーダセットも。「キン肉マン」世代の筆者はこれだけでゴージャスさんが好きになってしまった。
「このロビンマスクで嶋田先生ともツーショット撮ってるんです。サイン会で、ビックリしてたけど(笑)」と言って見せてくれた写メには、「キン肉マン」原作担当・嶋田隆司氏とのツーショットが写っていた。
お金はかかってなさそうに見えるロビンマスクの鎧だが、実は製作に10万円以上も投じたという特注品。ちょっとくたびれた感じの使い込みにも愛を感じずにはいられない。ゴージャスさんは作れる小道具や一部衣装は自作するが、基本は衣装屋に発注してのオーダーメイドで、グリフォンマスク(「餓狼 MARK OF THE WOLVES」のキャラクター)は11万円以上もしたという。一般的なキャラコスであれば4万円もあればセットで十分そろえられるので、かなりのお金のかけ方だ。
「流行りのキャラがやりたいのは分かりますよ。自分も人気キャラは好きです。でも、他と一緒になっても面白くないし、みんながやらないレアキャラをやるのが自分のコスプレスタイルです。この間はヤットデタマンをやって楽しかったし、『ドラゴンボール』の兎人参化や『ドラクエ11』のファーリス王子とかも。レアキャラで行くと、主人公系の参加者たちと“併せ”で世界観を再現できるのも楽しいです」
ゴージャスさんのコスプレは、会場で人気を集める格好いいコスプレ、セクシーやキュートなコスプレとは確かに違うものだ。しかし、これこそコスプレの楽しみ方を如実に伝えてくれる姿だろう。
「次回のキャラ衣装には『プロゴルファー猿』のミスターXを作っています。年内には出したいですね」
(取材・文:鈴木康道)