キャスティング理由は「“身につまされている顔”を見て」
――撮影について、まず、大倉さんと広瀬さんのキャスティング理由を教えてください。
狩野:元春は、設定的に大学生の役から銀行員の役をやらなくてはならず、年でいうと10歳くらいの差を演じてもらうということと、話の筋的には“後悔”が多いのですが、情けない男性が後悔して反省してくときの“身につまされている顔”が、大倉さんの出演された舞台などを見てもすごくよかったのでオファーしました。
澪の役は女子高校生から、日常に疲れている主婦、“バリキャリ”の銀行OLまで、いろいろな表情を見せないといけないのですが、広瀬さんならすごくハマりがいいだろうと思ったのと、持ち前の個性もそうですが、広瀬さんは太陽みたいな感じですよね。そういう明るい笑顔が出せる人がいいなと思っていたのでお願いしました。
――その他、キャスティングで特にこだわった方はいらっしゃいますか?
狩野:難しいなと思ったのは、沙也佳という役は、表面的には主人公が憧れたマドンナであり、お金持ちのお嬢様でもあり、澪に負けない美貌も持っていて。それらのステータスを踏まえて元春がてんびんにかけている様子があると思います。でも、広瀬さんとは違った魅力を持っている方というのを考慮して瀧本さんにオファーしました。
貸川:元春は、新しい妻が嫌だから結婚を後悔しているということではないと思うので、沙也佳が単純なライバルや悪役となるのも違うんじゃないかなと思っていました。沙也佳は“美人だけど悪い人ではない感じを出せる人”がテーマであって、瀧本さんは天然な一面や、優等生的な要素も多分に持っているので、そういう部分からも天真爛漫なお金持ちのお嬢様という雰囲気をすごくうまくやってくださったなと思います。