――初主演映画「かくも長き道のり」がいよいよ公開されますが、撮影してから少し時間がたっているんですよね。
はい、2018年の秋頃に撮影したので2年半ぐらいたっています。懐かしさとか恥ずかしい感じもありますね。
今、21歳ですけど、撮影当時は19歳。まだ10代だったので25歳の役をどう演じればいいのか、すごく悩んだ作品でもありました。
声や顔立ちは大人っぽいと言われていて、19歳の頃から成人に見られることも多かったんですけど、「所作やしゃべり方はやっぱり19歳だね」って監督もおっしゃっていたので、いかに25歳に近づけるか、相手役のデビット伊東さんと恋愛していてもおかしくないように見えるかというのを気を付けながら演じました。
――演じた遼子は、北村さんから見てどんな女性ですか?
幼い頃に両親を亡くしているので愛情表現が下手で、言葉が強かったり、暴力を振るってしまったりするんですけど、気持ちを強くしていないといけないというのも分かりますし、不器用なところもかわいいなと思える部分でもありました。
親の愛情を十分に受ける前に独りになってしまったので、デビットさんが演じる順ちゃん(順次)に親の姿を重ねていて、男性としてだけじゃなく大人としてすごく好きな人が見つかって遼子は幸せだったんじゃないかなって。
年の差がありますけど、台本からも遼子には順ちゃんが必要だということが伝わってきましたので、私は最初から“遼子”に愛情をもって臨めたかなと思います。
――25歳の遼子と50歳の順次。恋愛に対する考え方に違いがあるように感じました。
そうですね。順ちゃん世代だと、好きという思いだけではどうにもならないことがあったり、好きだからこそ身を引くことが相手のためだと考えるケースがあると思いますけど、遼子は「好きだったら一緒にいればいいじゃん」みたいな、“好き”という気持ちを最優先してしまう年代だと思うんです。
どっちの視点で見ることもできるので、見た方の感想を聞くのが楽しみです。
――共演したデビット伊東さんの印象は?
私、ドラマの「花より男子」(2005年ほか、TBS系)が大好きなので、その時の執事役の印象が強いですね。お笑い、俳優、それにラーメン屋さんとか、いろんなことをされている方なので「どんな方なんだろう?」って、最初にお会いした時はすごく緊張しました。
花男の時、キッチリとした役だったのでちょっと怖いイメージがあったんです。
デビットさんと本読みをした時も、1回終わったところで「じゃあ、次は現場で」って言われて、「あぁ、私がダメ過ぎて1回で見捨てられちゃったのかな…」って不安になりました。
でも、後で聞いた話ですけど、私のお芝居の感じを見て、「この子は本読みでガッチリとイメージを固めるよりも、現場の成り行きとかセッションをしながら役を作っていく方がいいと思った」って。そこまで考えてくださってたのがすごくうれしかったです。
――撮影現場で遼子という役を徐々に作っていったわけですね。
はい。現場でデビットさんに引き出してもらった遼子の表情とかがたくさんありますし、本番直前にセリフ合わせをしてくれたりして、遼子の気持ちを確かめながら一緒にお芝居をしていただきました。
今考えると、デビットさん以外の“順ちゃん”は考えられないです。信頼できるお父さんみたいな存在です(笑)。
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