――撮影は群馬県で行われたそうですが。
群馬県の中之条町で撮影しました。空気がおいしくて、夜になると星がたくさん見えて、自然がキレイだったのですごく幸せでした!
ずっと泊まり込みで撮影をしていたので、いつも夜になると星空を見上げて「よし、明日も頑張ろう!」って。
お祭りのシーンがあるんですけど、あれは実際のお祭りの日に撮影したんです。町の人たちもあったかくて、いい思い出です。
――屋良監督からはどんなアドバイスを頂きましたか?
屋良さんは、ご自身がイメージしていることを上手に伝えてくださるので、すぐに意思疎通ができて、遼子をどういう人物として描きたいのかが分かりました。
ただ、屋良さんはおちゃめな方で、言葉のチョイスが独特なので、そこをくみ取るのに最初のうちは大変でしたけど(笑)。基本的には自由に演じさせてくださったので、信頼してもらえてたのかなって思います。
「私がたくさん出てる!」
――完成した作品を最初に見た時の感想も聞かせてください。
初主演作なので、「私がたくさん出てる!」って思いながら見ていましたけど(笑)、最初は客観的に見ることができずに、“自分がどう映っているのか”、“遼子としてちゃんといられているのか”という不安もあって、ずっとソワソワしてました。
――撮影時を思い出したりしながら?
はい。最後に撮影したのがラストシーンだったんです。撮影の時、このシーンの撮影が終わったら、遼子から離れなければいけないんだって寂しい気持ちになって、カットがかかっても涙が止まりませんでした。
撮影が始まったばかりの頃はどれが正しいのか分からずに不安になったこともありましたけど、最後は離れるのが寂しくなるぐらいちゃんと遼子を理解して、遼子と一緒に過ごせたんだなって、ちょっと自信が持てた瞬間でもありました。
完成した作品を見て、「また遼子に会えた」という気持ちにもなりました。
――公開日も近づいてきましたね。
親や友達も、私の初主演作を見たいと言ってくれていて、これまでは地方での映画祭で上映されたことはありますけど、東京・池袋の映画館で上映されるので「やっと見てもらえる」っていう気持ちで、すごくうれしいです。
――タイトルの「かくも長き道のり」にちなんで、今はまだ難しい状況ですが、旅行に行けるとしたらどこに行きたいですか?
私、「紅の豚」(1992年公開)がすごく好きなんです。飛行機が湖に落ちるシーンがあるんですけど、その基になった場所がギリシャのザキントス島という所らしいので、ロケ地巡り感覚でそこに行ってみたいです。
あとは、20歳の時にイタリアに一人で旅行に行ったんですけど、青の洞窟は波が高くて見にいけなかったので、いつかリベンジできたらいいなって思っています。
――女優として今後挑戦してみたいことも教えてください。
今回演じた遼子も女優で連ドラの出演が決まったという役だったので、私も遼子を見習って、2021年は連ドラに出られるように頑張りたいです。今はいろんな役に挑戦してみたいですけど、かっこいい芯のある女性刑事とか演じてみたいです。
グザヴィエ・ドラン監督の作品が好きなので、家族愛だったり、男女問わずいろんな形の愛を知ってもらえるような作品にも出演できたらいいなと思っています。
――では最後に「かくも長き道のり」の見どころと、読者へのメッセージを。
新型コロナウイルスの影響でまだまだ大変な状況が続くと思いますが、映画って人々に夢と希望を与えたり、明日への羅針盤になったりすると思いますので、この「かくも長き道のり」が皆さんにとってそういう作品になったらいいなと思います。
遼子の不器用で真っすぐな愛、順ちゃんの優しく包み込む愛、そして二人の関係性を見届けてもらえたらうれしいです。
私自身、これからという時期ですが、皆さんの背中を押せるような女優さんになっていきたいと思っていますので応援よろしくお願いします。
◆取材・文・撮影=田中隆信