「彼女ってあの頃から見た目がほとんど変わらないじゃないですか。だから一緒にやっていて21年前に引き戻されるような感覚があって」(「マイナビニュース」2019年6月8日)。
深田恭子についてそう語るのは、21年前、彼女の出世作「神様、もう少しだけ」(1998年、フジテレビ系)を演出し、現在「ルパンの娘」(フジテレビ系)でもメガホンを取っている武内英樹だ。彼が語るように、深田恭子の見た目の“変わらなさ”っぷりは驚異的だ。36歳になった今でも、“深キョン”の愛称にまったく違和感がない。
キョトンとした“深キョン顔”が確立
深田は、1996年、13歳の時にホリプロの「タレントスカウトキャラバン」でグランプリを獲得し芸能界入りを果たすと、翌年「海峡」(1997年、NHK BS2)で女優デビュー。
その後、タレントスカウトキャラバンの出身者を中心に結成された「HIP」でのアイドル活動などを経て、金城武主演ドラマ「神様、もう少しだけ」のヒロインに抜擢された。演じたのは、援助交際をしてHIVに感染し、亡くなっていくという難役。このドラマは回を追うごとに視聴者の評判を呼び、最終回には視聴率28.3%を記録する大ヒット作となった。
彼女は決して“演技派”とは言えなかったが、この頃から既に、何を思っているのかハッキリとはわからない、無表情とも漂うキョトンとした“深キョン”が確立していた。だからこそ視聴者は、自分なりに解釈し、心情を想像する余地が与えられ、深くドラマに入り込むことができたのだ。
映画「下妻物語」が大きな転機に
そんな深田恭子の大きな転機となったのは2004年に公開された映画「下妻物語」だろう。CM界の巨匠の中島哲也が嶽本野ばらの原作を基に作り出した世界は、深田恭子の魅力をこれ以上なく引き出していた。
田畑に囲まれた田舎町・下妻で、ポンネットを優雅に被り、フリフリのドレスをキュートに身にまとう少女・竜ヶ崎桃子。田舎町の中での圧倒的な違和感。そんなロリータファッションを違和感なく着こなし演じたのが深田恭子だった。現実離れした人物をやらせたら天下一品。説得力は抜群だった。この作品で深田は「ヨコハマ映画祭」「毎日映画コンクール」「東京スポーツ映画大賞」の主演女優を獲得し、一気に評価を高めた。