「負けたくない!」その思いが演技に
小学校2年生からはバスケットボールを始めた。最初は姉の広瀬アリスのチームに人数合わせで入れられたことがきっかけだったが、負けず嫌いの彼女はバスケにのめり込んだ。入ったチームは強豪チーム。コーチも厳しかったが、そのカッコよさに憧れ、将来はバスケの選手かコーチになろうと思った。
だが、一足先にモデルデビューしていた姉のイベントを見に行き知り合った事務所の社長に半ば強引に勧められ「ミスセブンティーン」に出場。グランプリを獲得した。それでも、彼女の夢はバスケ。そちらを優先するという条件で事務所に入った。けれど、最初の仕事からその約束は反故にされた。バスケの新人戦と日程が被ってしまったのだ。「もうヤだ!」と大号泣しながらも、仕事をこなした。そのトラウマからしばらくは、モデルの仕事に反発しかなかった。
次第に変わっていったのが、ドラマで同世代の仲間と一緒になってからだ。彼らと一緒に仕事をするのは学校へ行くように楽しかった。その一方で、同じくらいの年齢なのに自分より遥かに演技のうまい人たちがいることに衝撃を受けた。
「負けたくない!」。いつしか、その気持ちはバスケットボールで相手に負けたくないという思いを凌駕(りょうが)するようになっていったのだ。広瀬すずは次第に演技にのめり込んでいった。