<にじいろカルテ>深川栄洋監督インタビュー「高畑(充希)さんは、刹那的でいられる稀有な女優さんだと思います」
山奥の小さな診療所を舞台にした医療ドラマでありながら、風変わりな医師と看護師、個性的な村人たちの心温まる交流を描いた人間ドラマとしても人気を集める「にじいろカルテ」(テレビ朝日系)。
岡田惠和が脚本を手掛けていることでも話題の本作の監督を務めるのは、映画「神様のカルテ」やドラマ「僕とシッポと神楽坂」(テレビ朝日系)などの深川栄洋。その深川監督に岡田脚本の魅力、キャストの印象、演出に対するこだわりについて聞いた。
現場で脚本を分解し、別の人にセリフをふり直しすることもあります
――岡田さんの脚本を演出するにあたり、大切にされていることを教えてください。
岡田さんとご一緒するのは、映像作品では今回で3回目。舞台を含めると4回目になるのですが、岡田さんの脚本には型がないので、演出する立場からすると、とても難しく思っています。たとえば今回の場合は、どこで(主軸となる)物語が始まっていくのか、毎回変わるんですね。それを大事にひろっていく作業を慎重にやっているのが、いつもとは違う仕事かなと思っています。
――具体的にどういうところが今までと違うのでしょうか?
より自由度が高くなったのが、これまでと違うところだと思います。今までは一つの流れを作るために物語をA地点からB地点に持っていくことが多かったのですが、今回は行き先を決めずに港を出向しているような感じがします。最初に僕と岡田さんで決めたことがあったのですが、それをひょいと裏切ってくるというか(笑)。なので、いつもよりも緊張感があります。
――そういった岡田さんの自由度を特に感じたエピソードはありましたか?
第3話で雪乃さん(安達祐実)と晴信さん(眞島秀和)のエピソードがありましたが、最初に決めたところでは、もう少し病気の治療の方に話の流れを持っていく予定だったんですね。ですが、実際に脚本があがってきたら、これまで二人が病気にどう向き合ってきたかと、彼らを支える村人たちのエピソードが軸になっていました。医者の活躍を全く描かずに村人たちの活躍を描くというのは、予想していなかったので驚きました。
――その上で、演出で工夫されていることはありますか?
役者が脚本通りにやっても岡田さんの描きたいことを表現できない、というのが今回の現場で僕が感じたことでした。脚本にはこう書いてあるけれど、「この言葉じゃないんじゃないかな」とか、「これは言わずにいた方が岡田さんの目指すところにたどり着くんじゃないか」と思うことが多々あったりするので、それを現場で役者と確認し合いながら進めるようにしています。なので、現場で脚本を分解し、別の人にセリフをふり直しすることもあります。役者さんからすると、自分が覚えてきたものとは違うセリフを言わなければいけなかったり、全く違う動きを求められることもあるので、最初はとまどいがあったと思います。