オーラル山中拓也、30歳の誕生日に初著書を上梓「“弱さあってこその自分”を肯定できる本になっています」
――今、40歳になったら読み返したいって言っていましたけど、40歳の自分に何かメッセージを送るとしたら?
なんですかね? 「体のメンテナンスはしっかりしときぃや」っていうのと、「過去の栄光ばっかり話すクソみたいなおっさんにはなるなよ」ですかね(笑)。
――表紙や中面の最新の撮り下ろし写真なども含めて、一つの作品に。
そうですね。すごくこだわらせていただいて、結構無茶も言わせていただきました。
――どんな無茶を言ったんですか?
写真とかを急きょ差し替えましたね。
(同席していた書籍担当編集者)入稿の1週間前にページを1折増やしたいと言われました。そのタイミングで言われたのは初めてのことだったので驚きましたけど、その2日後にロケーションやスタイリングとかを含めて、スタッフをご自身で手配してくれたので「そこまでやってくれるのであればこちらもそれに応えないと」と。結果的にすごくいい本になりました。最初、ちょっと背筋が凍りましたけど(笑)。
すみません(笑)。迷惑をかけてしまいましたけど、やっぱり細部にまでこだわって作りたいと思ったんです。
――“若草山”や“なら100年会館”といった地元・奈良での写真はこの本のために撮影されたものですよね?
はい。奈良に行って撮影してきました。なら100年会館は、有名なアーティストが奈良に来た時はここでライブをしてきた場所ですし、2016年に僕らもワンマンライブをした場所でもあります。見に行く場所から立てる場所に変わったことで、自分の中でまたひとつ大事な場所になりました。なので、ここで撮りたいなって。若草山も馴染みのある場所なんですけど、その中でも知らないところがあったりして楽しかったです。奈良を離れて東京に出てから、地元の良さを改めて感じたところもあるので、今回、奈良で撮影できて良かったなって思っています。
――ほかに、THE ORAL CIGARETTESのメンバーからのメッセージも。
原稿が上がってきた時は「誕生日プレゼントとして、本が出来てから読もう」って飛ばしていたんですけど(笑)、最近ようやく読みました。「こんなこと思ってたんや」って。普段、こういう形でメンバーからメッセージをもらうことってないですし、恥ずかしいですからね(笑)。でも、いいプレゼントをもらったなぁって気持ちです。
――お話していただいたようにこの本はTHE ORAL CIGARETTESファンに限らず、読んで共感できる、勇気が持てる本だと思いますので、最後に読者に向けてのメッセージをお願いします。
コンプレックスを抱えている若い人はたくさんいると思います。若者以外も自分の弱いところを未だに認めきれない人間も多いと思うんですけど、“そういうのがあってこその自分なんだ”って肯定できる本になっていると思います。人生いくらでもやり直せるというのを読んでもらえればわかると思うんです。3月発売ということで、この春、進学や就職とか、何か新しく始めようと環境が変わったり分岐点に立ったりする人も多いと思うので、とにかくこの本を読んで励まされて欲しいですし、「俺、いける!」って思ってもらえたらうれしいです。
(取材・文=田中隆信)