2020年春、10年ぶりの連ドラ主演作となる「捨ててよ、安達さん。」(テレビ東京ほか)で安達祐実が演じた役は安達祐実本人だった。それは人生を“女優・安達祐実”として生きてきたと言っても過言ではない彼女にとって、象徴的な役なのかもしれない。
「家なき子」で“天才子役”として脚光を浴びる
38歳の彼女の芸歴は36年。2歳で雑誌のモデルとしてデビューし、以後、子役としてCMやドラマなどに出演した。当時のお小遣いは「ドラマ1本200円、取材受けると10円とか、映画をやると500円」などと決まっていたという(TOKYO MX「5時に夢中!」2014年10月31日)。そんな中、ハウス食品「咖喱工房」のCMでの「具が大きい」というフレーズでブレーク。
12歳の時には、「家なき子」(1994年、日本テレビ系)の主演に抜擢された。30%を超える視聴率を叩き出し、彼女の「同情するなら金をくれ!」というセリフは流行語に。“天才子役”として脚光を浴びた。
だが、この栄光と引き換えに彼女は苦しめられることになる。中学に入学した月から放送が開始されたため、クラスメートはまずドラマのイメージで彼女を知ることになった。だから、ドラマでのイジメを学校でも受けてしまう。さらに国民的ドラマだったゆえに、街ですれ違っただけの人に悪口を言われたり、突然、頭をはたかれたりもしたという。
苦しみは実生活だけではない。女優としても、10代の頃は、どの現場に行っても「お前は何やっても『家なき子』に見えるな」と言われてしまう。