映画「太陽は動かない」で輝く存在感 注目度上昇中の新星・日向亘「信頼される俳優になりたい」
「どうやって作られているんだろう?」という好奇心の方が強かった
ーー映画「太陽は動かない」の撮影は、高校1年の春から夏にかけてだったそうですね。プレッシャーはありましたか?
初めての現場だったので、「自分が見ていた世界がどうやって作られているんだろう?」という好奇心やワクワク感、楽しみの方が大きくて、緊張という感情がなかったです。今思うとすごい度胸だな、無知って凄いなと思います(笑)。
ーー本作では、ハードなアクションシーンにも挑戦しています。
クランクインの2カ月くらい前から、ときどき東京に来て、レッスンを受けました。撮影当日は覚悟を決めていったので、多少接触があっても痛みを感じなかったんですけど、1日中撮影して、ホテルに戻って、ベッドに「はぁ〜」と倒れた瞬間にスイッチが切れました。体が急に重くなって、ベッドに沈んでいく感覚で。体を見たら、アクションシーンでの傷もできていました。疲れや痛みに気づかないくらい、気持ちが高ぶっていたんだと思います。
ーー完成した作品を見た感想は?
自分がスクリーンの中にいることにびっくりしましたし、撮影がとにかく楽しかったな、懐かしいな、という気持ちになりました。特に楽しかったのは、三重県の答志島での、3泊4日のロケですね。島で撮った、滝のシーンがすごく好きなんです。僕が演じる少年期の鷹野は青春している普通の高校生に見えて、実は闇を抱えている、これから先の人生もどうなるか分からないという孤独な子。唯一の救いとなる詩織(南沙良)に本音をぶつけるシーンだったので、気合いが入りました。
ーー滝のシーンは映像も美しかったです。高校時代の描写があるから、大人のシーンが分厚くなりました。詩織を乗せて走るバイクのシーンも印象に残っています。
開放感があって、気持ちよかったです! 僕は免許がないので運転する予定はなかったんですが、撮影場所が私有地で撮れることになったので、急遽自分で運転することになりました。貴重な経験ができました。
ーー鷹野はとても重くて苦しい過去を背負っています。経験したことがない人生を歩んだ人物をどう理解し、どんな準備をし、表現しましたか?
監督からは、「準備してきたものもあると思うから、ああしろこうしろとは言わない。とりあえずやってみよう」と言われていました。僕は準備として、原作の小説『森は知っている』を読みました。小説には、台本には書かれていない、詳細な心情やバックグラウンドが書かれているので、それを台本に書き込んで、演じるたびに台本を開いて心情を確認しました。
ーー藤原竜也さんのお芝居を現場で見学されたこともあるそうですね。参考にしましたか?
はい。大人になった鷹野がこうだったら18歳のときはこうだったのかな、と自分なりに想像して演じました。
ーー鷹野は「ここじゃない場所」に希望を見出している人物です。日向さんはどんな場所に行って、そこで何を見たいですか?
僕が見たい世界……。今、芸能界の最前線に立たれてお仕事をされている方は、どの年代にもいますが、僕もいずれそこからの景色を見てみたいです。
ーーちょっと照れ笑いされていますが、野心を感じます。有言実行タイプですか?
どうなんでしょう。まあ、言うだけ言っとこうみたいな(照)。
■PROFILE
ひゅうが・わたる=2004年3月18日生まれ、群馬県出身。
■公式 Instagram
URL:https://www.instagram.com/hyuga_wataru/
映画「太陽は動かない」
公開中
<スタッフ>
原作:吉田修一「太陽は動かない」「森は知っている」(幻冬舎文庫)
監督:羽住英一郎
脚本:林民夫
制作会社:ROBOT
主題歌:King Gnu「泡」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配給:ワーナー・ブラザース映画
<キャスト>
藤原竜也、竹内涼真、ハン・ヒョジュ、ピョン・ヨハン、市原隼人、
南沙良、日向亘、加藤清史郎、横田栄司、翁華栄、八木アリサ、
勝野洋、宮崎美子、鶴見辰吾、佐藤浩市ほか
【HP】taiyomovie.jp