<俺の家の話>危篤の寿三郎(西田敏行)を囲み泣き笑い! 最終話目前で感じる“逃げない”脚本家・宮藤官九郎のスゴさ
長瀬智也主演の金曜ドラマ「俺の家の話」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)の第9話が3月19日に放送され、父・寿三郎(西田敏行)が脳梗塞で危篤になり、長男・寿一(長瀬)をはじめ家族や門弟が囲むシーンが描かれた。
感動と笑いを呼び、「不謹慎と思いつつ爆笑した」「事態は深刻なのに笑かしにくる」と視聴者の感情は揺さぶられっぱなしだ。 (以下、ネタバレが含まれます)
伝統芸能×異なる文化で新しい世界を生む宮藤官九郎
長瀬主演×宮藤官九郎脚本でタッグを組む「俺の家の話」は、濃すぎる家族が織りなす王道のホームドラマ。重要無形文化財「能楽」保持者の寿三郎(西田)の介護のために、長男・寿一(長瀬)がプロレスの世界から観山家に戻ってきて、家族のあらゆる問題と向き合っていくストーリー。
宮藤官九郎は、無関係と思われる要素と伝統芸能を掛け合わせて、オリジナルの世界観を作り上げることのできる脚本家である。
「タイガー&ドラゴン」(2005年TBS系)では“落語”と“ヤクザ”を、「いだてん~東京オリムピック噺~」(2019年NHK総合ほか)でも“落語”と“オリンピック”を絡めて大河ドラマを描いた。「俺の家の話」では、“能”と“プロレス”の世界を同時に描き、そこに“介護”という家族の問題が乗っかるために、先の展開はもはや誰にも予想がつかない。
「人間国宝の父を持つ長男・寿一の家族の話」という大筋もさることながら、視聴者が感心するのは、宮藤が幾重にも織り交ぜる小ネタやギャグの数々と、社会風刺にも似た時節を盛り込んだ設定にあるだろう。