――「おおさかシネマフェスティバル2021」新人女優賞受賞おめでとうございます。
ありがとうございます! こういう映画の賞を頂くのは初めてで、それが地元・大阪の映画賞というのもすごくうれしいです。「おおさかシネマフェスティバル」は、地元の方の投票とかで決まるみたいなので、皆さんの大阪愛も感じました。
――井頭さんが大阪出身で、「鬼ガール!!」の撮影も大阪。いろんなことが重なって。
はい。ロケ地が大阪なので、見ていただいた方も親近感を持っていただいたのかなって。私にとって、「鬼ガール!!」は映画初主演作で、ターニングポイントにもなった作品です。
――公開されたのが2020年秋。新型コロナウイルスの影響で公開延期になった作品も多かったですが、「鬼ガール!!」は予定通りに公開されました。
ちょうど映画館も上映を再開した時期だったので、タイミングが良かったと思います。撮ったのは一昨年(2019年)なので、コロナの影響はなかったのですが、コロナ禍でも上映できたことが感慨深かったです。
――映画初主演作ということで、やりがいもあったと思いますけど、プレッシャーもあったのでは?
撮影の時期に壁にぶち当たってしまって、いろいろ考えることがありました。落ち込みましたし、精神的に今まで味わったことのないような挫折を感じていました。作品に対してマイナスのイメージになってしまうんじゃないかと思って、公開前には前向きな発言をしてきたので、こういう話をしてきませんでした。
でも、毎日3時間ぐらいしか寝られなくて、「この作品、上映できないんじゃないか」っていうくらい追い込まれていて…。自分の演技が(観客に)受け入れられないんじゃないかとか、ハードなスケジュールの中でたくさんの人が動いているけど完成するんだろうかとか、公開される頃には自分は女優を辞めてるんじゃないかとか、考えてしまうのはそんなことばかり。
でも、「いつも応援してるよ」とか「完成楽しみにしてるから」とか、地元の方からの言葉が励みになって、それを力に頑張れました。ですので、こうして賞という形で残せたことに自分でもすごく驚きました。
――不安を抱えながら撮影した作品だったんですね。
そうですね。その時は誰にも相談できなくて、ご飯も食べられなくて、どんどん痩せていって、本当に過酷な状況だったんですけど、監督さんは気付いていたそうです。後から聞いた話ですけど、「悩んでいる姿が主人公の“ももか”と重なって見えた。主人公がもがきながらも成長していくという映画だったので、分かっていたけど、逆に放っておいた」って(笑)。
きっと、あの状況でしか出せない自分もいたんだろうなって思います。状況も重なって、自分自身も悩み過ぎてて、結果的にももかと重なることができて、自分自身も成長できたのかもしれないなって今は思っています。
――乗り越えるべき壁だったのかもしれませんし、今、このお話ができるのはそれを乗り越えたということなんでしょうね。
私もそう思いました。撮影が終わった時は写真も見返したくないぐらい精神的にもやられていました。でも、取材をたくさんしていただいて、つらい過去と向き合って、その時のことを自分の言葉で話すことで、それを乗り越えた瞬間がありました。
それ以降は、次の作品に入った時でもスッと物事を考えられるようになりました。「鬼ガール!!」では演技指導がほとんどなくて、そういうのも初めてだったんですけど、それによって自分で考える力もついたんじゃないかなって後で思いました。
――「鬼ガール!!」を見た人たちの反響、そして今回の受賞によって、さらに自信につながったのでは?
はい。映画って作ったら終わりじゃなくて、そこから作品がどんどんいろんなふうに進化していくと思うんです。自分が「こういうふうに見てほしいな」と思って演じていても、違う視点で見ている方もいて、逆に気付かされることも多くて、そういうのも面白いなって。
自分が出演した作品とか演じた役とかに対していろんな意見を頂くと頑張る糧にもなりますし、クセになるというか、達成感のようなものもあって、だからやめられないんだろうなって(笑)。
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