ニューアルバムをリリース!FIVE NEW OLD「バンドをやってていちばんの財産は、帰れる場所が増えたこと」
「今日はどんな私でいようかな?」というとき、クローゼット16着あるみたいな作品になっていると感じてます
――今回の新作、基本的には明るい曲が多く、メッセージとしては光に手を伸ばしたり、支えになるようなアプローチが多いですよね。やっぱり、このコロナ禍で感じたことを詰め込んだんでしょうか?
HIROSHI その影響は凄く大きいです。避けて通れないというか。ミュージシャンとして、この先何年も残っていく曲を作りたいというのもありますけど、やっぱり、今をちゃんと捉えておきたかった。それに、会いに行けないからこそ、会いに来てると感じてもらえるような曲にするには、この状況を一緒に分かち合ってることを曲に詰め込むことが大事だな、って。
WATARU それに、そこをあえて狙ったというより、自然にそうなっていったんですよ。こういう時期だから、無意識に感じてることもあるわけで、そういった想いが音楽にしたとき、自ずと出てきたような。
――自然とにじみ出たモノだからこそ、新作の聴きやすさ、馴染みやすさにつながっているんでしょうね。
HIROSHI あと、世界的にちょっと怒ってる音楽が多かったり、辛いことを辛いまま飲み込む音楽も多いし。まあ、それはそれで僕も好きなんですけど、こういう時代だからこそ「大丈夫だよ」と伝える人も必要だと思うんです。実際、この新作をメンバーとチームで作っていた1年だったからこそ、すごく充実していましたし。音にも言葉にも希望をこめられたのかなと思いますね。
――では、収録曲についてお話を聞かせてください。HIROSHIさんも出演されたドラマ『3Bの恋人』の主題歌として書き下ろした「Hallelujah」。多幸感に溢れていて、ふとした瞬間にも幸せは訪れるという、ドラマの内容ともリンクした歌詞が日本語で綴られていますね。
HIROSHI 「Hallelujah」に出てくる言葉は、僕らのバンドコンセプトである”ONE MORE DRIP”に通ずるところがあって。直訳すれば”もう一滴、アロマオイルが広がるように音楽を楽しんで欲しい”、”生活に花を”ということなんですけど、最近、そこにもうひと手間加えることが大事なのかなと感じたりもしてて。例えば、ご飯を丁寧に作ってみたり、コーヒーもわざわざ豆から挽いて入れてみたり、スマホひとつで聴ける音楽もレコードで聴いてみたり。そういうひと手間加えることによって、自分にしかない思い出やストーリーが宿るんじゃないかな、って。
――何気なくしてしまうことに関して、しっかり意味合いを持たせるような。
HIROSHI そうですね。そういうことをすっ飛ばしてしまいがちに生きているからこそ、日々を繰り返していくことに無意味さを感じたりもすると思うんです。だから、ひと手間加えることで、ふとしたときに大事な幸せがそこにあることを教えてくれるだろうし。そこを曲にこめられたかなと思ってますね。
――全編が日本語詞というのは新作にも収録されている「Vent」が最初でしたけど、実際に挑戦してみていかがですか?
HIROSHI 新たな武器でもありつつ、難しさも感じています。
SHUN 英語詞と比べた場合、子音や母音のスピードだったり、演奏もそうですし、細かい調整は必要なんですけど、HIROSHIくんはそういったことをキャッチするのが上手いんですよ。だから、バンドの武器になってきたなと思ってます。
――FIVE NEW OLDの音楽って、英語詞が中心だったり、洋楽的なメロディーワークやグルーブも相まって、聴く人を非日常へ連れ去ってくれるところもあったと思うんです。そこが、日本語詞で歌うことによって、日常に寄り添ってくれる存在にもなったのかな、と。
HIROSHI そうですね。言葉の部分もそうだし、鳴らしてるジャンル感もそうですけど、新作に『MUSIC WORDROBE』と名付けた分、いろんな選択肢になってると思ってて。フォーマルに合いそうな曲もあれば、カジュアルな曲もあるし、部屋着みたいな曲もあったりする。ちょっといい下着をつけてるみたいな感覚になる曲もあるかもしれないし。「今日はどんな私でいようかな?」というとき、クローゼット16着あるみたいな作品になっていると感じてます。
ワーナーミュージック 3300円
収録曲●My House/Summertime/Hallelujah/Breathin’/Sleep in Till The Afternoon/Don’t Be Someone Else/Oblivion/How to Take My Heart Out/Nebula/Chemical Heart feat.Masato from coldrain/Knock Me Out/Plane Garden/Light Of Hope/Vent/Moment/Awakening
写真左からSHUN(Ba)、HIROSHI(Vocal&Gt)、WATARU(Gt&Key)、HAYATO(Dr)。2010年兵庫・神戸市にて結成。2017年にメジャーデビュー。2019年5月に香港、台湾、中国、タイを含むアジアツアーを開催。9月には全国14公演のワンマンツアーを実施。現在「FIVE NEW OLD“MUSIC WARDROBE”Tour」を開催中。5/2(日)に東京・LINE CUBE SHIBUYA、7/23(金)に大阪・BIGCATで「10th Anniversary LIVE“5 will give you 10”」を開催予定
公式HP
https://fivenewold.com/