鍵山優真選手の存在が良い刺激に
また、現在の心境について「世界選手権(2020-2021)で一緒になった鍵山優真くんと仲良くなって、一緒に練習する中で僕のスケートのモチベーションが見つかったというか。この子を見て、もっとうまくなりたいと思ったし、この子にとってモチベーションになる人であり続けたいと思うようになった」と、18歳の後輩選手の存在が刺激になっているとコメント。
「選手同士もコーチ同士も、技術の話ってほとんどしないんです。技術よりも重視してるのはメンタル、自分が練習したいと思える環境づくりが大切。僕は優真くんといるともっと練習したいと思えるので、そう思えることが大事だなと」と現在の良好な精神状態を明かし、「とりあえず今は靴ですね。いつも3週間~1カ月で寿命が来ちゃうので、シーズン中もずっと靴の調整をし続けている感じ。もっと自分の練習に集中したくて。メーカーは同じだけど、新しい靴の種類に挑戦しています」と具体的な取り組みも語った。
ランビエールコーチの下での変化は“変わったというより思い出したという感じ”
2020年1月から師事しているランビエールコーチの下での変化を問われると、「変わったというより思い出したという感じですね。(2019年6月までの)樋口美穂子コーチの下での練習も楽しく充実してたんですけど、そっから離れたことで、結果を求めて滑るというか…『頑張りたい』じゃなく『頑張らなきゃ』って思うようになっていたので。それがランビエールコーチに支えられて、楽しむ気持ちが戻ってきた感じです」とコメント。
新しいプログラムの製作状況については「ショートは、正直ステファンコーチがどうするかに委ねています」と報告。ランビエールコーチによる新しいプログラム作成の予定はあるが現段階では曲も振り付けも決まっていないため、今シーズンのエキシビション使用曲であった『オーボエ・コンチェルト』を、来シーズンのショートプログラムにする可能性も語った。
フリーについては「今年使うプログラムが、今までで一番ハードな『ボレロ』に決まりました。キツイけど、だからこそすごいのができるかなと。シーズンを通して、この『ボレロ』が僕の代名詞として思ってもらえるよう、ステファンコーチと頑張りたいと思っています」と語り、「オリンピックだからって『今できるのを最大限出す』というより、シーズンを通してその先に向かって成長できるようにしていきたい」と、冬季五輪を前に、あえて難プログラムに挑む理由を明かした。
今後の目標と来シーズンの意気込みを問われると、「スケートの中でやりたいことっていうのはたっくさんあって、すべて頑張りたい。楽しみたいとかいう気持ちもあるけど、今はどこまで行けるのか、自分の成長をもっと知りたいので、頑張りたいのひと言ですね」とコメント。「もちろんよかったなって思えるシーズンにしたいですけど、シーズン終わったときの感想とか、これからどうしたいとかより、今は優真くんの影響もあって、ただただうまくなりたい、練習したいと思えるのが楽しい。…ので、先のこととか考えず、ひたむきにやりたい」と強調していた。
◆取材・文=坂戸希和美