震災当日に地元・気仙沼にいなかったことがカセになり、一歩も前に進めなくなった百音を変えたのが、高校卒業したての百音を受け入れた登米の人々だった。
登米の名士で“山主”、百音を下宿させる新田サヤカ(夏木マリ)は、実に懐の深い人物。山や木が、地元の人々にとってどんな存在かを教えたのもサヤカだ。
第33回では、樹齢300年のヒバについて「あの木は、人々の暮らしを守る最後の砦」と語り、「私は自分も、この土地を守るのが自分の役目だって思って生きてきたのよ」と打ち明けた。第43回(7月14日放送)で見せた、ヒバの伐採作業を見届ける寂しげな背中は、それだけで胸を打つ。
そんなサヤカは、百音の気象への興味が「気象予報士として働きたい」という夢に変わっていったこともお見通し。東京へ行きたいと思い始めた百音のうしろめたさを見破り、第44回(7月15日放送)で「行きなさい、自分の思う方へ」と百音の背中を押す場面は、ヒロインの旅立ちを彩る名シーンだ。
いつも明るく百音を盛り立て、山の知識を教えてくれたのが、翔洋(浜野謙太)や川久保(でんでん)ら森林組合の仲間たち。林業の体験学習を通じて「気象は命を守る仕事」と知った第2週や、百音が森林組合の一員として学童机開発に打ち込んだ第5週も印象深い。
そして、百音にとっての大きな出会いの一つが、登米の診療所の医師・菅波(坂口健太郎)。第1週ではドライで不愛想に描かれていた菅波だが、徐々に態度が軟化。第23回(6月16日放送)では、気象予報士の勉強を始めた百音に雨の原理を説明し、おそらく初めて百音に笑いかける場面もあった。
百音はともかく、菅波の方は少しずつ百音を意識し始めているフシも。今後、東京での生活を始める百音と、登米と東京を1週間おきに行き来する菅波とが新たな関係を築いていくかどうかも期待したいところだ。
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