俳優の佐々木蔵之介が7月16日、東京・池袋の東京芸術劇場にて「Team申 第5回本公演『君子無朋(くんしにともなし)~中国史上最も孤独な「暴君」雍正帝~』」のフォトコール&取材会に中村蒼と共に登場。自身が演じた中国の皇帝・雍正帝の魅力などについて語った。
佐々木が主宰し、朗読劇も含め7作品を上演してきた演劇ユニット“Team申”の11年ぶり本公演。ドキュメンタリー番組の中国ロケをきっかけに、佐々木が興味を引かれた、清の第五代皇帝で、玉座に座ることなく執務室で毎日20時間働くほど勤勉、最期は過労死との仮説が有力視される埋もれた皇帝“雍正帝”の生涯を描く。
中国の皇帝・雍正帝は“元祖テレワーク”を実施した人?
佐々木は「今までいろんな殿、王を演じましたが、中国の皇帝、エンペラーを演じるのは初めてで、僕もそこまで数多くの中国の皇帝モノも見てきたことがないので、初めてづくしで面白く取り組んでいます」とコメント。
「中国の国土とEUの国土って同じくらいの広さなんですよ。EUはいろんな国があっていろんな政治制度があって、多数決とかで決めているのに、中国はたった1人の皇帝がすべてを決める。そんなん、ねぇ…」とその途方もない権力と裁量、それに伴う重圧と仕事量を説明。
「雍正帝は独裁者で暴君なんですけど、非常にユニークで、紫禁城は広いのに、自分は2LDKくらいの部屋にずっとこもって、中国全土の末端の役人と手紙のやり取りだけ1日20時間…元祖テレワークですよね。それで13年で過労死して死んじゃうんですけど、趣味はコスプレ」「しかもずっと本ばっか読んでたから言葉が汚いんですよ。ここだけの話っていいながらあとで出版したり、とにかく面白い。ただの独裁じゃない、すんごいことやってるぞ! って」と、自身が魅了された雍正帝の魅力を伝える口が止まらない。
「これから舞台でやるのに、ちょっとしゃべりすぎました」と照れつつ、「タイトルが『君子無朋(くんしにともなし)』。皇帝には兄弟もいない、家族もいない、父も母もいない、1人だって言ってるんですね。彼がそれを掲げて、一国の未来を導いて、未来を切り拓いていく、その覚悟と孤独をご覧いただければ」と力強くアピール。
「そしてその彼の覚悟に付いてきた現場の人たち。今、国はどうしたらいいのか。戦い抜いてきた現場の人たちの物語です。本当に…こんなことになるとは思ってなかったですけど、リーダーがこうやったらこうなるんだっていう、1年半前には想像もしなかったことを今芝居にできて」
「演劇っていうのは、劇場に来るのはやっぱり日常じゃなくて非日常を見に来てると思うんですけど、非日常の劇場に来て何を感じるか…これは古代中国の話ですけど、でもやっぱり“今”の話になってると思うので、劇場に来てくださる方は見ていただけると本当にありがたいです」と語り、「といっても難しい話ではなく、ゆかいな話にしましたので、楽しんでいただければ幸いです」と締めくくった。
Team申 第5回本公演『君子無朋~中国史上最も孤独な「暴君」雍正帝~』は、7月17日(土)~25日(日)まで東京芸術劇場 シアターウエストにて上演。仙台、石川、広島、福岡、長野、新潟、そして8月17日(火)~29日(日)まで京都府立文化芸術会館で上演。
◆取材・文=坂戸希和美