妖怪“アマビエ”を再解釈する「アマビエ・プロジェクト」
――コロナ禍での作品というと、現代を生きるアーティストが妖怪“アマビエ”を再解釈するアート展「アマビエ・プロジェクト~コロナ時代のアマビエ~」の参加作品「reflectwo (リフレクトゥ)」についても伺いたいです。
「reflectwo」は大学生の頃散歩している際に見た、利根川の水面に映った風景に着想を得た作品です。
水門が閉まっているのか潮の関係なのか、深夜2時頃に必ず川の流れが止まる時間があるんですが、ぴたっと水面が止まったときに、植物のシルエットや向こう岸の景色が、水鏡のようにきれいに対照に映っていて。それが一つの塊としてぽんっと宙に浮いているみたいに見えたんです。
それを見たときに「怖さ」や、景色の圧倒的な「存在感」を感じて、思わず首を横にして、景色を縦にしてみたんです。そうすると、それまでただの景色だったものが、その塊が巨大な生物のようにも、巨大なバロック調の柱が空高くまで伸びているようにも見えて。今、自分が対峙しているものは一体何なんだろう…と思ったんです。
うまく言葉にできませんが、そこには「景色の持つ存在感と自分自身が対峙している」という感覚が強くあって。この感覚をもとに作品を制作しました。
――「reflectwo」はどのような面で“現代のアマビエ”となり得るのでしょうか?
コロナ禍で、死生観や、それによってこの世界との密接な繋がりを感じたことが、“アマビエ”や作品「reflectwo」につながると思いました。日常のすぐ側に、死の境界線があるということを認識したり、存在を揺るがすような景色と対峙したり、目の前で起こっていることと向き合い、表層にある「意味」を超えた存在感や死生観と対峙したときに現れてきた象徴的なかたちが、“アマビエ”であり、「reflectwo」であると思っています。