例えば、番組開始直後から高岸vs前田対決企画を意図的に多くしており、両者に必ずスポットライトが当たるように設定されているのがよくわかる。そして、初回の北海道の極寒の中、半裸でアイスや冷凍みかんを食べる対決後、企画内容の過酷さやスタッフの態度に愚痴を言う前田に対し、番組は早速「小言番長」というあだ名をつけている。
大雑把でポジティブ一辺倒の高岸と対照的に、細かいことを気にするネガティブなところをことさらに見せることで前田のキャラを際立たせようとしているのは明らかに愛情だ。北海道で小言キャラといえば思い浮かぶのは大泉洋。北海道のカリスマと同様のキャラ認定は期待の表れ。ぜひ完遂して欲しいところである。
単独の企画「行け!前田裕太!」もスタート
正直なところ、番組内でも前田自身まだスポットライトが均等に当たることに慣れていない感は見られる。札幌出身のトム・ブラウンが北海道について教える回のように東京でも共演しているタレントとの絡みでは、前に出るべきかそうでないのか迷っているようなところも見られた。
それでも番組の何とか前田にも注目させたいという期待は大きく、先日ついに「行け!前田裕太!」という前田が単独で北海道各地で色んな人を応援する企画が発表された。表向きは大河ドラマ出演など高岸単独のスケジュールが増えてきたということだが、番組としてはやはり前田のまだ見せていない魅力を見せたいのではないだろうか。
東京でのティモンディ前田の位置づけは常に「高岸の相方」であり、せいぜいのところ「前田も運動神経は半端ないらしい」「前田も体力測定全国一位の化け物」といった認識だろう。しかし、明治大学の法科大学院に進んでいたり(その後中退)、多趣味だったりといった側面はあまり注目されていない。もっと引き出しはあるのになかなかそこに目を向けてもらえていない。
残念ながら今は「令和のじゃない方芸人・ティモンディ前田」だが、地方制作バラエティ番組の豊富な実績を持つSTVでのびのびと肩を作り、来るべき東京で主役として注目を浴びる日には全力で肩をぶん回して欲しい。
「試される大地」北海道で、ティモンディ前田は今文字通りその実力を試されている。
文=前川ヤスタカ
人気映画や日本初上陸の海外ドラマ、オリジナルコンテンツも多数配信中。
今なら2週間無料でお試し!