卒業した女性アイドルの約40%は芸能以外の道に
特に女性アイドルは、若さゆえのフレッシュなエネルギーやキラキラ感を求められるものであり、“アイドルには賞味期限がある”と揶揄されることも少なくない。また、アイドル活動を終えた後、俳優やYouTuber、アパレルブランドのディレクターといったセカンドキャリアで成功する例もあるが、さまざまな理由から芸能界を離れ、一般社会で生活している元アイドルも多い。実際に、2020年4月に日経エンタテインメント!が発表した調査記事によると、女性アイドルの場合は、20歳~22歳で卒業するメンバーが多く、56.5%が芸能活動の継続(意向も含む)を、40.7%が芸能以外の道を選択。一方で、男性アイドルの場合は、芸能活動の継続率が72.2%となり、これには女性アイドルと比べて卒業年齢が高いことが関係していると考えられる。
M-lineが示したアイドルのセカンドキャリアの可能性と、新しいファンクラブのカタチ
そんな、アイドルビジネスにおいて、卒業メンバーの受け皿を作り、現役でなくても活躍できる場を用意するというM-lineの仕組みは、業界内では特異なものと言えるだろう。例えばAKB48は、メンバーの所属事務所がバラバラなことで知られているが、これは個人として活動の幅を広げ、グループ卒業後も理想の芸能活動を行えるというメリットがある。しかし、大手事務所に移籍できるのは人気メンバーに限った話であり、全員に確約されたものではない。また、乃木坂46をはじめとした坂道グループは、現役時と同じ事務所に卒業後もそのまま在籍するため、卒業メンバーの受け皿が用意されているという点ではM-lineと同じだが、活動内容やファンクラブ設立は個々のメンバーによる。そのため、個人ではなく集団でファンクラブを形成していること、卒業メンバーへ一律に活躍の場を提供していることから、M-lineの方がより実効性のある仕組みと言えるかもしれない。
メンバーの卒業と加入による新陳代謝を繰り返し、今やモーニング娘。には、アイドルグループとしては異例の20年以上にもおよぶ歴史と伝統がある。元プロデューサー・つんく♂イズムを受け継ぎ、積み重ねてきた育成力、アイドルビジネスのノウハウ、何よりもメンバーとファン、事務所とファンとの間に強い信頼関係があるからこそ実現した、新しいファンクラブの形だろう。
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