ロバート・秋山竜次扮(ふん)する最先端のクリエイターにインタビューする「クリエイターズ・ファイル」。今回は、“宙吊り王子(プリンス)”と呼ばれ、特に女性ファンを魅了してやまない、カリスマミュージカル俳優の霧島天介(34歳)。
ことしで10年目となるミュージカル「ビートジャーキー」で、宙に舞い続け、その度に客席を埋め尽くす女性ファンから歓声が湧き上がる。コロナ禍のことしはどのようなミュージカルを披露するのか、霧島に密着した。
初演から10年、進行形、壮絶ミュージカル——
――「ビートジャーキー」は10周年を迎えたそうですね。おめでとうございます。
ありがとうございます。自分の感覚ではまだ10年という感覚はないですね。このカンパニーで、切磋琢磨やってるうちにいつの間にか迎えちゃいましたね。ここ数カ月エンタメ界の人間としてやれることは何だろうって考えることが増えました。カンパニーのみんなともエンタメについて死ぬほど語り合いました。結果、答えは簡単だったんです。どんな形であれ、ファンの皆様にエンタメをお届けするということがこのカンパニーの任務であり、宿命だと感じたんです。
――霧島さんといえば、「ビートジャーキー」での宙吊りが有名ですね。
そうなっちゃいましたね(笑)。ファンの皆様の前では、僕はヒーローであり、スターでありたいと思っています。スーパーマン、スパイダーマン、バットマン、パーマン……ヒーローって宙に浮いていますよね。空を飛んでいますよね。東邦劇場へは皆さん、いろんな気持ちで足を運んでくれる、すなわち、僕は飛ばなければならないんです。始めた頃は「宙吊りなんて派手なだけだ」「演者として地に足がついてない」と叩かれました。でも、僕は、地に足がついていなくて何が悪いんだと思ったんです。地に足がつくのはいいが、己の道を定めすぎて行き先が狭まるのではないかと考えたのです。あえて地に足をつけず、行きたい方向へ行ってみると、道が定まってなくても何か見つかることがあると思うんです。実際、宙吊りパフォーマンスもまさにそういう感覚なんです。