ストーリーパートは“自分らしさ”を出せた
――不安もある中、実際にステージに出て、お客さんの反応はいかがでしたか?
高野 一緒に踊るパートは楽しいと言っていただけてうれしかったです。声を出せない中でも熱量を感じました。自分がお客さんだったら、ずっと座って見ているよりも一緒に楽しめる方がライブ感があるなと思っていたんです。それを自分でちゃんとやって、お客さんにも楽しんでもらえた実績ができたので、安心しました。
――「ENTER」ツアーのこだわりや見どころはどこですか?
高野 ど頭のダンスを中心に固めたセットリストも勢いがあって見どころだと思うんですけど、その後、歌詞がつながるように曲を集めたり、映像を挟んだりして、作品みたいなパートを作りまして。僕は“ストーリーパート”と呼んでいたのですが、そこは普段から俳優もやっている僕じゃないとできない味なのかなと思っています。役者としても活動している自分らしさを出せるパートを作りました。
そういうパートを作りたいというのは、以前末吉秀太さんのライブを見に行かせていただいたときに思いついて、そのときから構想を立てていました。途中で末吉さんがセリフを言うところがあって、「自分がライブをやるなら、ストーリーや芝居のパートを作ってもいいかな」と。
――ライブを作り上げる上で、積極的にアイデアを提案するタイプですか?
高野 半々かなぁ。演出の方がセットリストを最終的に修正してくれたりもしました。最初はセットリストもパートとして作っていなくて、散りばめていたんです。でもそれを、さっき言ったような“お客さんと楽しむパート”みたいにギュッと集めた方がいいんじゃないかと提案してくださいましたし、やってみるとそれが絶対に正解だったなと。いろいろなスタッフさんが意見を出してくれて、意見を出し合える仲間だからこそのライブになったと思います。
――具体的には、どのようにライブを作り上げていったのですか?
高野 アルバムを制作する段階である程度ツアーの内容も見えている必要があったので、選曲もバランスを意識しました。いざ本格的にツアーをやると決まってからは、会場が決まり、ステージのセットを作るためにイメージを絵に書いて送ったりして。「これはこうした方がいいよね」とか「これは現実的じゃないよね」とかいろいろありましたが、「スクリーンは絶対に入れたい」と言って、大きなLEDを構えていただきました。固めたのはそこからですね。セットリストを提案して修正して、映像をどうするか話し合って、どの曲で踊るかを決めて…。
――作り上げる過程は楽しかったですか?
高野 全然そんなことないです(笑)。怖さしかなかったですね。
――「やりたかったことができる、やったー!」という気持ちは…?
高野 僕は全然なかったですね(笑)。現実的に見てしまっていて。少し前からツアーをやる予定はあったので、作り始めてからはもう「うわ、やれるんだ」という気持ちはあまりなかったです。
――シビアに、お仕事として見ていたということですね(笑)。
高野 そうですね。ツアーが始まってみたら楽しかったです(笑)。
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