数多のエンターテイメントを造り上げてきた芸人、浅草キッド・水道橋博士がニコニコチャンネル「水道橋博士のザテレテレビジョン」をスタートさせた。テレビの世界で活躍し続けてきた水道橋博士が新たにネット配信番組を作った背景にはどんな思いがあるのか…? 4代目水道橋博士運転手であり社長芸人のジョニー小野が、水道橋博士を超至近距離で見詰めて綴るコラム。
“過激な仕掛け人”水道橋博士の見せる「普通の姿」
2021年4月、ついに浅草キッド・水道橋博士の地上波レギュラーが30年ぶりに0になった。「藝人春秋2」「藝人春秋3」と2か月連続で文庫を出版した矢先であり、世間ではさまざまな憶測が飛び交っていた。水道橋博士は折に触れてこう言っている。「自分が死ぬ間際に後悔したくない。だから、どんな危険を冒してでも、言うべきことは言って社会に問いかける」
近年の水道橋博士の活動は、芸人の枠を超え、思想家や社会運動家の領域にまで浸潤しているのではないかと思われるところまで広がってきている。そして2021年8月1日、活動のステージを「ニコ生」(ニコニコチャンネルでの生放送)に広げて「水道橋博士のザテレテレビジョン」が始まった。
期待と不安を胸に生放送を待ち構えていた私が目にしたものは、意外にもあの“過激な仕掛け人”水道橋博士ではなかった。伝説的なテレビ番組「浅草橋ヤング洋品店」の元プロデューサーである高須SANと共にリラックスして日常会話のように昔を振り返る“好々爺”水道橋博士だった。
今もなお日夜SNSや雑誌などでの過激な言説を披露している水道橋博士が、なぜ普段の姿を見せるのか。舞台上ではない、楽屋の水道橋博士である。
水道橋博士の芸人の哲学
ここで水道橋博士のとある言葉を紹介しよう。
「芸人は成功しても失敗しても、すべて正解なんだよ。生き様を見せることが芸なんだから。」
そのキャリアの中で、水道橋博士は失敗も多いが成功も多い。三歩進んで二歩下がるが、その後また必ず三歩以上進むのだ。
それであれば、水道橋博士が見せたいのは「進んでも下がってもいないときの水道橋博士」なのだろうか。いや違う。サプライズをこよなく愛する芸人であり、周囲の予想を斜め上に裏切ることで多くの感動を生み出してきたのが水道橋博士だ。今回の「水道橋博士のザテレテレビジョン」はきっと、私たちが想像もつかないであろうオチに向けたフリなのだ。水道橋博士は、ネタ作りに悩む後輩芸人にこうアドバイスしたという。「オチから作るんだよ。フリはオチを最大化するために作る。そうするとネタに流れができて、オチで笑いが大きくなる。」
「水道橋博士のザテレテレビジョン」は、ほぼ週1回という超ハイペースでかつ、2時間以上の長時間の生放送を配信している。芸人としては既に大ベテランである水道橋博士のこの新たな挑戦と、どのような「オチ」を用意しているのか、その行方を見守っていきたい。
月額料金:550円(税込み)
チャンネルURL:https://ch.nicovideo.jp/suidobashihakase-thetv
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