櫻井孝宏が初のエッセイ集で原稿と格闘…!『自分を語るうえで両親の存在は大きいですし、切り離せない』<Interview前編>
「小説とかを読むのが苦手で…」
――今回、書き下ろしで地元に行くと聞いた時はどのようなお気持ちでしたか?
「えぇー!?」って思いました。ただ、YouTube「RPG 外伝」の方でも、「せっかくこれだけ(エッセイで)自分のルーツを書いているんだから、実際に巡ろう」という話になって、その説明は説得力があったので納得はしたんですけれど、それでもぐずりました。(※「RPG 外伝」は、YouTubeチャンネル「ダ・ヴィンチ放送部」が配信する動画)
今のところ文字に留めているものなので、それをリアルにさらしてしまうことにちょっと抵抗があったんです。知らない人を招き入れるということもですけれど、果たしてイメージしている旅になるのだろうか? という不安もあって、それは思った通りの結果になっちゃったのですが(笑)。
とはいえ、ああいう文章になったのも、行って体験したからこそなので、悪いことではないと思いますし、自分だから書けた内容だったのかなって収穫はあったと思います。
――書籍の中では「新しい自分と出会えた旅だった」と書かれていましたが、どういったところで“新しい自分”を発見できたと感じましたか?
私はラジオもやらせていただいているので、喋って表現する、話して表現するということにはそれなりの経験値があって、自分の方法論があるんですけれど、これまであまり積極的に文字に触れてこなかったんです。
なので、一般誌に連載を持つなんて考えていなかったですし、どう書いていっていいかも分からなかったんです。初めは「口語で書いちゃえ!」というところから入って、自分を掘り返すような作業でした。
文字ってある程度断定することになるので、うやむやにしていた考えとか、後回しにしていたことの答えを出さなきゃいけなくなるんですよね。喋りは少し温度をつけられるんですけれど、文字はより明確になるので、その辺で「自分はこう思っていたんだ!」「意外と真面目に考えていたな」と、大きなリマインドみたいになったんです。
なので、繰り返し連載を書いていくうちに考え方や、アウトプットの仕方もちょっとずつですけれど変化してきて、昔ほど文字に対する恐れみたいなものもないかなと思います。小説とかを読むのが苦手で、最低限くらいでしか触れてこなかったので…台本とシナリオは読めるんですけど(笑)。
――あまり文字に触れてこなかったということですが、エッセイを書くうえでお手本にしているものなどはありますか?
それがあまりなくて…どちらかというと何か面白い出来事があった時に「どう喋ろうかな?」と、自分がラジオベースで見つけてきたスタイルを文字のフォーマットにアップしている感じです。
あとはプロじゃないので、あまり恐れがないのかもしれないです。「こういうふうにやってみようかな?」「こうするとおしゃれかな?」という、子どもっぽい発想ですね。