――4曲目の「僕らのはなし」は初収録曲ですね。
いつもタイアップ曲を作ったすぐ後にカップリング曲を作っているんで、今回も「ありふれたいつか」を作った後に、「月とライカと吸血姫」の要素がまだ自分の体温の中にありながら作った曲です。
イリナが「いいな」って思い描いたありふれた日々というか、その“ありふれた”って自分にとってなんだろうなって思った時に、コロナ禍とかぶった感じがあって。
ツアーに出ることを知らなかったり、ライブもそんなにしてなかった時期があったんですけど、でも曲はやっぱり作るじゃないですか。「作らなきゃ」って感じで作ってたんですよ、昔は。
でも今は、「作りたい」っていう気持ちが強くなるのは、ツアーでいろんな人に会った時で、人からエネルギーをもらってやる気が出たり、「よし!」っていう気持ちになるのが、何にも代えられないなって。
おいしい食べ物を食べても「頑張ろう!」って思うけど、一瞬で終わっちゃうし(笑)。やっぱり体が一番奮い立つのって人の応援や優しさなのかなって思って。そう考えた時に、早くツアーをやってみんなと会いたいなと思って、「僕らのはなし」として曲を書きました。
5曲目の「urar(ウラー)」は、TVアニメ「ハクメイとミコチ」という小人たちがいっぱいいる作品のオープニング主題歌だったんですけど、まず小人とか妖精って、可能性としてゼロではないなって思って。
タイトルの「urar」はアイヌ語で「霧」の「ウララ」から来ているんですけど、霧に包まれると相手も自分も実態があやふやになるというか、本当にこの大きさなのかとか、そういうちょっと錯覚を起こすようなものが霧の存在としてあって、それって小人に出会っている感じに似ているなって。
それで作品の小人の見た目がコロポックルに似ているなと思ったので、アイヌ語の「ウララ」からタイトルを付けました。アレンジも“小人語”がきっとあると思って、2人の小人が主人公のお話なので、サビの部分は1人が日本語でもう1人がスキャットで、違うメロディーラインを付けてコーラスしてます。
――最後の「たより (弾き語りVer.)」は声優の上田麗奈さんに提供した楽曲のセルフカバーとなっています。
上田さんが「たより」を初めて披露するのがライブだって聞いて、きっとファンの方は上田さんに会いたくて会いたくてしょうがなくて、その日が来るじゃないですか。
でも、それってファンの方だけじゃなくて、きっと上田さん自身にもファンの方に「会いたかったよ」って思いがあってのライブだと思ったんです。
上田さんはお手紙を書くイメージがあったので、その日に向けての“便り”を、上田さんの写真を見て似合う言葉を考えながら、全部自分の想像の中でなんですけど、書かせていただきました。
――今回、自分が歌うということで変えたことなどはありますか?
提供した元々の楽曲はアコースティックアレンジ。弾き語りもアコースティックなのでイメージは変わらないけど、自分らしくということでコード感もちょっと変えて自分のソロ寄りにしてるというか、上の方はあまり変えずにルートをどんどん変えていくみたいな、その辺りで変化を付けました。
下に続きます