次世代VRMMORPG《ソードアート・オンライン》を舞台に主人公・キリトの活躍を描いた、川原礫による小説「ソードアート・オンライン」(以下、SAO)シリーズ。その全ての始まり《アインクラッド》編を、ヒロイン・アスナ視点で深く掘り下げながら詳細に描く、作者自身によるリブートシリーズを原作とした『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』が2021年10月30日(土)に公開される。本作はオリジナルキャラクター、アスナのクラスメイト・ミトも登場。今回、アスナ役の戸松遥とミト役の水瀬いのりに本作への思いを聞いた。
――TVシリーズから9年ぶりの《アインクラッド》編となりますが、演じてみていかがでしたか?
戸松「もう一度同じセリフを言うところもあれば、新しく書き下ろされているシーンもあって、懐かしさと新しさの両方がありました。ただ、時系列的には過去に戻っているので、SAOの積み重ねてきた知識や経験値をゼロに戻して、15歳の中学生というところを意識しながら、新作を作るような気持ちで演じさせていただきました」
水瀬「SAOシリーズは私が声優デビューした頃からの人気作品で、いつか出てみたい作品の1つだったので、いざ参加するとなるとすごく緊張しました。今回は1人での収録だったので、既存キャストの皆さんと一緒にアフレコはできなかったんですけど、ヘッドホン越しに皆さんの声を聴いていたので、1人だけど1人ではないような空間の中、念願のログインをすることができました。そして、今回参戦するお話が、シリーズの原点である《アインクラッド》編というところも個人的にはすごく嬉しくて、これまでの自分の思いがミトというキャラクターに凝縮されました。アスナにとって大事になるキャラクターを任せていただけて、本当に嬉しかったです」
――水瀬さんはSAOシリーズ初参加でしたが、収録を終えてみて手応えは感じましたか?
水瀬「劇場で観てくださった皆さんの反応を見て、やっと感じられるのかなと思っています。アフレコ自体は順調に録り終えることができ、ミトというキャラクターに対する自分の演技のアプローチが、間違っていなかったんだなと自信につながりました。長く愛される作品に出演できたことで、自分の財産になったと思っています」
――キリト役の松岡禎丞さんは、当時技量の足りなかったところをブラッシュアップしたかったと語っていますが、戸松さんも同じ気持ちでしたか?
戸松「そこはあまり考えてなかったかな(笑)。でも、TVシリーズと変わらずにもう一度出てくるセリフは意味があると思うので、同じシーンやセリフを演じる時は、その時の見せ方やアスナ視点で見える景色、演出の仕方によって変えながら演じさせていただきました。結果的に前よりもブラッシュアップされているかは、お客さんが決めてくださることだと思うので、今からドキドキしています」
――本作でも大事なシーンで登場するキリトの魅力は、どこにあると思いますか?
戸松「今作のキリトは、カッコイイよりも可愛い要素がたくさんあるなと思います。もちろん最後の方で見せ場もあって、『さすがキリト!』というところもあるんですけど、14歳なのでまだ女の子慣れしていないというか、コミュニケーション能力も初々しい感じなので、個人的には今回のキリトは可愛い感じがありました」
水瀬「TVシリーズで14歳のキリトを見ている時、私も同世代だったんですけど、当時はもっと大人っぽいキャラクターが好きだったんです。でも、時間が経ってキリトよりも年上になってみると、キリトの姿に母性をくすぐられる瞬間が多々あって、時の流れを感じました」
――バトルシーンを含めクオリティーの高い映像となっていますが、見どころを教えてください。
戸松「もともとSAOは、すごくアニメーションのクオリティーが高かったんですけど、『劇場版はその場にいるような感覚になってほしい』という監督の思いで作られているそうです。今回、監督と少しお話をする機会があって、絵のこだわりを聞いてみた時に、背景の立体感や音の感じ方、テレビではなくスクリーンに対応した画質と色を考えて作られているという話をされていて、その思いが伝わってきました。やっぱり戦いのシーンを見てみても、大きいスクリーンに負けない動きになっているので、楽しみにしていてほしいです」
水瀬「武器で戦う時のエフェクトの色がキャラクターによって異なっているので、ミトが何色のエフェクトになっているのか楽しみにしていただきたいのと、公開されたキービジュアルでミトが大きな鎌を持っているんですけど、SAOシリーズでは初めて登場する武器なので、まだ誰も見たことがないんですよね。ミトがどんな戦闘スタイルなのか、旅の途中でアスナと一緒にどんなふうに戦闘に向き合っていくのか、今回は女の子チームでの戦闘スタイルになるので、注目して見ていただけたら嬉しいです」
文・撮影=永田正雄